「子供の貧困と振り込め詐欺は、多少関係あるかもしれないと思った。」ギャングース Push6700さんの映画レビュー(感想・評価)
子供の貧困と振り込め詐欺は、多少関係あるかもしれないと思った。
入江監督が好きなので見た。特にサイタマノラッパーシリーズが好きで、入江監督の作品はよく見ている。
ダメ男が主人公なので世間的にはあまりうけないと思うけど、サイタマノラッパーみたいな映画を撮っていただきたいといつも思っている。
朝ドラの主演やっていた安藤サクラさんも初めて見たのはサイタマノラッパー2で、あれがブレイクのきっかけとは言わないまでも、何かしら売れ始めるきっかけにはなったと思う。
この映画の主人公カズキも年齢的にきついけど、サイタマノラッパー駒木根さんにしてもらいたいと思っていた。
今回は原作物だけど、入江監督が得意な現代のダメ若者グループの話なので期待していたけどやや不発だった。
できればもう少しお笑いの要素を入れてもらいたかったような気がした。
原作は犯罪の手口やテクニックみたいなものが強調されていて、全て実在するらしいけど、映画では触れていなかったのが残念。
テーマ的には現代日本の子供の貧困とその子供の将来みたいなものがテーマでいいと思うけど、内容的には普通のギャング映画になってしまっている。
出演者はだいたいイメージに合っているけど、元AKBの篠田麻里子さんはサービスで出ている感じで正直いらないと思った。
この映画は振り込め詐欺などの犯罪者のお金を盗むタタキ屋という裏稼業の人話なんだけど、映画見てる分には主人公達が別に悪いことしているとは思えない。
いろいろなことで追い詰められて生きるためにしかたなくやっているようだし、振り込め詐欺等で悪いことしているやつらをやっつける正義の味方的な感じもする。
悪人なんだろうけど、比較的いい方の悪人かもしれない。
この映画では敵役になっているけど、振り込め詐欺やっている方もそんなに悪くないかもしれない。
貧困家庭に生まれてろくに教育も受けられず、親の援助もなく、世間では搾取されひどい目に遭ってきた人がやっているなら、見方が多少変わってくる。
被害者の方には受け入れられないと思うし犯罪なんだけど、やってる方の理屈としては、お金のない人からとっているわけではなく、持っている人から出せる分をとっているのだし、
貧困家庭ではなく、もしその家に生まれていればもらえたお金なんだからそんなに悪くないということなんだと思う。
今まで貧困でひどい目にあってきたなら、むしろ正義ぐらいに思っているかもしれない。
生まれた環境なんて関係ない、全て自己責任というのが世間の建前だけど、現実は厳しい。
ラストはとってつけたようにそんな感じでまとめていたけど、中途半端なギャング映画にしないで、最初からそのことを中心でやっていればもっと面白くなったと思う。