焼肉ドラゴンのレビュー・感想・評価
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働いても働いても、、、てとこは同情するが。
アボジとオモニの演技がたまらなく良かった。
だけど、哲夫はどうも受け入れられない。大泉洋が演じているからどこか許してしまいそうになるのは罠で、彼は働くこともせず愚痴ばかり。嫁の実家でブラブラしてるだけのくせに、静花への未練、婚約者へのやっかみ、おそらく無銭飲食。「俺がいつお前みたいに浮気した?」と突っかかるが、御立派な体をしていながら働かない方が、この立場の場合はロクデナシでしょう。「世間一般連れてこい」だって?そこ不法占拠なのになんで正義漢ぶれるの?その前にせめて一人前の男らしくしろって。しまいには、嘘にまみれた楽園”北”に向かうなんて、行く先に不安と憐れみしか感じない。道連れにされた静花が可哀そう。(それとは別に真木よう子の関西弁の酷さには参ってしまったが。)
アボジとオモニ、それと時生。この三人が抜群に良いだけだった。
映画フレームの中で展開される、「ザ・演劇」
昭和の高度経済成長期にあった1970年代の日本における在日コリアンの一家を主人公にしたドラマ。第16回読売演劇大賞の"大賞"と"最優秀作品賞"、また第8回朝日舞台芸術賞の"グランプリ"を受賞している名作戯曲を原作にしているからなのか、映画フレームの中で展開される、[ザ・演劇]。
原作・脚本の鄭義信自身による初メガホンということで、やっぱり餅屋は餅屋か。オリジナル舞台が好きな人にはいいかもしれないが、家族が揃ってこちら(カメラ)側を見るなど、意図して舞台的なフレーミングが多用されているので、"映画"的ではない。今どきのCGを使って、再開発の大阪の街並みや上空を飛ぶ旅客機をリアルに再現することはできても、あらゆるシーンで演劇臭さがぬぐい切れない。
たとえば、今どきの高精細カメラはぜんぶを見せてしまうので、どう見ても"作りモノ"だと分かってしまう、"セットの安物感"。家はボロボロの掘っ立て小屋というより、小ぎれいに汚されたコントの大道具である。
またオープニングとエンディングでサクラの花びらが舞い散るが、他のシーンで屋根の上や街を俯瞰するカメラワークがありながら、これだけの花びらを降らせる大きな桜の木や、桜並木が写っていない。突然、空からサクラが舞い散る…コレを、"脳内補完しろ"というのが、[ザ・演劇]なのである。
セットの質感は別として、細かい仕込みは時代考証バッチリである。大阪万博のアメリカ館の話や"太陽の塔"、劇中で使われる美空ひばりの「真っ赤な太陽」(1967)や青江三奈「伊勢佐木町ブルース」(1968)などの楽曲。"チューリップハット"など登場人物たちのファッションは、一周回ってカッコいい。
ちゃんと映画として作り直してほしかった…映画だからできることと言えば、大阪万博はみやげ話ではなく、お金をかけてCG再現したら、大絶賛されただろう。「ALWAYS」の象徴である"東京タワー"のように。
とはいえ、いい話である。素晴らしい演技である。日韓の映画俳優による見事な演技は見ごたえたっぷり。"焼肉ドラゴン"の父母を演じるキム・サンホとイ・ジョンウンの日本語と韓国語のハイブリッドなセリフ回しは、鄭義信監督の脚本の狙いがハマっている。美人3姉妹に真木よう子、井上真央、桜庭ななみを揃えたのも鄭義信初メガホンの賜物。
鄭義信監督の脚本作品といえば、「月はどっちに出ている」(1993・キネマ旬報ベストテン第1位)、「愛を乞うひと」(1998・キネマ旬報ベストテン第2位)、「血と骨」(2004・キネマ旬報ベストテン第2位)などなど。映画マニアのココロをつかむのが上手いだけに、本作も高評価が予想されるが、この[ザ・演劇]をどのように受け入れるのだろうか。
昭和の高度経済成長期の話といえば、「ALWAYS 三丁目の夕日シリーズ」(2005/2007/2012)だが、本作は「ALWAYS」のアンサーソング(返歌)的になっている。"東京"に対して"大阪"。"日本人一家"に対して"在日コリアン一家"。同じ時代背景に中で起きていた立場の違いと社会的な差別を描きつつも、本格的な戦後復興にまい進する空気感は、漠然とした未来の明るさを感じさせる。いい話である。
(2018/6/22/ユナイテッドシネマ豊洲/ビスタ)
ネタバレあり
息子がイジメられて背中に書かれてしまってるシーンで、劇場で近くに座っていた60代くらいのお歳の召されたお客さんで笑っていた方がいてゾッとした。
まだご年配の方は韓国人ってだけで偏見もって見下したりする方が多い。良い歳した方の方がそう見ている方が多い。どんな気分で見るのは人の勝手だけど、イジメの場面で笑うなんてなんだか侘しい。自分は日本生まれだが、親が韓国だから心が痛かった。自分の親が韓国人って事を知らなく、でも心ないご年配の方にたまに韓国人とかありえないとか言われる事もある。でもそう言ってくるのって必ずご年配の方。
他国を見下して自分の国が1番偉いとでも思っているのか。そんな小さい心の人がまだ現代にもいるんだと劇場で感じるとは悲しい世の中。
この作品はコメディって言ってる方も多いけど、昔も今も続いている日本と韓国との関係を描いている感動作だと思う。
『何見に行くん?』『焼肉ドラゴン』
『おもんないって!』
(嫁さんの感が…)
演劇ってジャンルなんかな?
悪くは ない。
眠くなれへんかったし
美人三姉妹やし
一生懸命演じてはるし(熱量は伝わった)
…俺の感受性おかしなったんかな?
何も感じひん(批判の意味ではない)
(漫才とか吉本新喜劇を生で観たら
めっちゃ面白いもん!)
(生で見なアカンやつやわ)
舞台でも映画でも裏切らない面白さ
この映画の監督をした鄭義信氏が、2008年にこの作品の原作をして、舞台上演を行い、以来、多肢に渡り多くの絶賛を受け、とうとう映画にまでなってしまった。劇作家が映画監督までして自分の作品をプロモーションしてしまうなんてスゴいなぁ〜と思った。
私は、実際に舞台も観ていますが、作り手が同じなので、映画と舞台の内容は、演出や台詞などは区別しているものの、展開はだいたい同じです。良い部分は裏切らず、そのまま起用して表現している所はファンとしては安心して観ることが出来ました。
茶色くくすんだトタン屋根と木材のバラックが立ち並ぶ一角のすぐ上をスレスレに飛んでいく飛行機の臨場感だったり、その風に煽られて舞う桜吹雪の鮮やかさだったり。正反対のものが調和して、とても綺麗な情景を醸し出す場面は、この物語の未来を写すとても大切なシーンだ。舞台でもこの演出を大事にしていたが、臨場感の鮮やかさや迫力は、舞台では作れない映画ならではの映像と演出があって、とても良かったです。
そしてこの物語は、これから日本と韓国という2つの祖国を背負って生きていく子供達が主役なのだが、映画の演出では、戦争という歴史に翻弄された済州島の人々の心情が濃く印象付けられるように、龍吉と英順の夫婦に焦点を当てた演出をしている所に特徴があると思えた。実際の、GHQの対応や残留を決めた人々の史実などは、当事者のみぞ知ることであり、実際のところは分かりませんが、エンタメ作品なのでこの際、フラットな気持ちで客観視して観ると、キャッチコピーにもあるように、全員が本気と本音で生きていることのルーツが徐々に判ってくると、何が正しいとか、誰がどこに住むかとか、そういう次元でモノを推し量ることが浅はかに思えてくるほど、普段は寡黙な龍吉の、ここぞという語りには説得力があった。鄭義信氏は、そういった弱者の代弁を、作品を通して好意的に表現しているが、決して非難や否定をしている訳ではない。好き嫌いとか善し悪しではなく、歴史を知り、現実を知り、ただそういった人達も居たんだ、という事実を受け入れることに意義がある。そういう意味では映画の方が、より気軽に楽しく触れることができる。
キャストの演技も熟練されているので、面白くて、観終わった後、感情を動かされて体温が1度上昇する…。そんな良質な映画でした。
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