「生きる勇気をそっと与えてくれる映画でした」焼肉ドラゴン CBさんの映画レビュー(感想・評価)
生きる勇気をそっと与えてくれる映画でした
最初の1時間は、実はこんな感じでみていました。
安っぽいセットで、やるせない話を次々と見せられ、特に息子の話はこれでもかこれでもかと辛いばかりだなあ。
3姉妹の相手となる男たちも○○はじめロクでもない奴が多いし、
「あ~、きょうの映画はちょっと外れだったかなあ」、
それでも「国有地に無断で住まざるを得なかったように、韓国の人たちには厳しい生活を強いていたんだから、『観なければいけない映画』のひとつなのかもしれないなあ」
こんな感じで、引いた立場から、上から目線で観ていたわけです。
それが、後半になったら、あら不思議。いつのまにか、俺はその家族に感情移入していて、つい涙がこぼれているではないですか。
それどころか、「可哀想だ」とか「幸せに近づけてよかった」といった感情ではなくて、彼らの生き方にこっちが勇気づけられているではないですか!
前半、あんな偉そうな見方していたこっちが、後半ではすっかり支えてもらい、力をもらっていたんです。脚本や演出が秀でているのでしょうか。そんな不思議な心の旅をさせてくれた映画でした。
繰り返しになるけれど、生きる勇気をそっと与えてくれる、実はとても明るい映画だったように思えます。いや、びっくりしました。
キネマ旬報からの受け売りですが、「どんな人生であろうと、どっこい生きている人々を描く」。いやあ、さすが評論家の人はうまいこというなあ。まさに、、そういう映画です。
2020/4/22 追記
近大さんのレビューを読んで、あらためて本作に感じたことを、以下追記。
4姉弟それぞれの考え方や生き方に、共感することは少なかったのだけれど、その上で、本作全体には、激しく心を揺さぶられました。多様性の中での価値って、こういうことなのかな。