「二人のメアリー・スー」劇場版 幼女戦記 つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
二人のメアリー・スー
スター・トレックに登場したメアリー・スーというキャラクターは、魅力的で能力も高くドラマティックなバックボーンを有する。それは都合の良すぎる完璧なキャラクターとしてミーム化した。
日本では「ぼくのかんがえたさいきょうのキャラ」といったところだろうか。
神に愛されすぎて物語のバランスをぶち壊すほどのキャラクターだ。
そんなキャラクターと同一の名を持つ人物との激闘が本作のメインである。
「幼女戦記」の中で神といえば、いやでも思い浮かぶ存在がある。そう、存在Xだ。
つまり、この作品の中に登場したメアリー・スーは、存在Xに愛されたキャラクターとみることができる。
一方で、漫画やアニメでは特に顕著であるが、物語の主人公というのは往々にして「メアリー・スー」なのである。わかりやすく言い換えるならば「幼女戦記」という作品の神(原作者)に愛された「メアリー・スー」こそがターニャ・フォン・デグレチャフなのである。
つまり、存在Xに愛されたメアリー・スーと、「幼女戦記」の原作者に愛されたメアリー・スーであるターニャの激突なのである。
これが面白くないわけない。
とはいっても、存在Xですら作品の神の手のひらの上なのだからゴニョゴニョなってしまうが。
テレビシリーズを観ていなくても楽しめるという意見をどこかで目にした。確かにアクションシーンだけを考えたらそうかもしれない。
しかし物語の点からみると、思いっきりテレビシリーズの続きであるし、何より存在Xのことをよくわからないまま本作を観るのは少々勿体ない気がする。
肝心のメアリー・スーの背景も曖昧なまま観ることになってしまうからね。もちろんどちらの「メアリー・スー」もだよ。
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