「音を立てたら即死!」クワイエット・プレイス だいふくさんの映画レビュー(感想・評価)
音を立てたら即死!
音を立てたら襲ってくる"何か"という設定ではありますが、一貫して家族愛がテーマでありました。音を立てずに細心の注意を凝らし、絶望的な環境の中で協力しながら生活する一家を描きます。ただ、その生活の中には、末っ子のビューの死が暗く深く影を落とし、崩壊していく家族の絆…。前半はそんな様子が繰り広げられ、少しづつ崩れてしまっていく家族の仲が不憫でたまらないのです。
一転、映画後半は、前半の静寂から一気に動へと変わっていきます。なにか静寂を解禁したかのような勢いで、今まで存在が不明であったモンスターも一気に登場し、まさに命を懸けた戦い。
そんな戦いの中での母親イヴリンの出産劇があります。いや~、この映画一番の見どころと言っても過言ではないかもしれません。静寂必須の世の中で、ありえないと苦言に近いレビューも見られますが、個人的には、この出産シーンは、ホラー映画史に残るくらいのインパクトがあった気がします。よりによって家族不在のなか"何か"におびえながら浴槽で一人出産する様子は、否が応でも手に汗握る緊張MAXなシーンなのです。モンスターの近くで声を出さないで出産なんて、今までの映画史で有ったでしょうか?
そのモンスターはかなり気持ち悪い外見でした。視覚がないため聴覚頼りに行動するといった設定ですが、動きが俊敏でおまけに体が硬いため、どうしようもない位なスペックのモンスターでした。ではどうやって倒すのでしょう…、やっぱりなと思いました。
映画時間が90分という短さには評価できます。モンスター物は簡潔に描くのが一番だと思います。変にだらけず、余計なことも居れず、さくっと鑑賞できたのが成功したと思います。