「着眼点は面白いが内容は浅い」クワイエット・プレイス こけりうむさんの映画レビュー(感想・評価)
着眼点は面白いが内容は浅い
大体の内容としては音に反応する怪物(地球外生命体)との共存を強いられたとある家族の日々を生き抜く様子が描かかれている。
怪物の特徴と家族の特徴から会話は基本的に手話で行われており、口に出して発した会話はあまりない。生活音にも反応がある為物語は静かな場面をメインに進行していく。
静かさを利用しており、また発音される言葉も少ない事から視聴者は嫌でも画面を注視する事になる。それによって内容も頭に入ってきやすく、家族の緊張感を共に味わう事も出来る。ベースが「静」なのでたまに出る大きな音や声は、緊張感とスリルを感じさせるという効率的かつ有効な演出方法を用いている。
しかし、何と言っても内容が薄い。
見ていると突っ込みどころ満載で、ついつい集中力を欠いてしまう。音に気を付けねばならないというのに音の出そうなものに布を巻くわけでもなく、作中では怪物による被害が世界的に見ても多いという設定になっているのだがどう考えても対処策が思いつく。これは特別に頭がいいとかではなく、近年SNSやインターネットを利用していたり、さまざまな動画・漫画・映画を見ていれば子供でも思いつくレベルの問題だ。
しかも音が問題になっていると大々的にうたった後で、主人公家族の母親はいつの間にか身ごもっている。表示された経過日数からするに、怪物がはびこってしばらくしてからわざわざ作った事になる。
どう考えても現実的ではなく、また必要に迫る条件があるわけでもなく、その点を含めてこの家族の行動や生活を見ると「うんまぁ万が一殺されたとしてもそうなってしかるべき行動だよね」としか言い様がない点が多すぎて感情移入があまりすすまない。
これがもっと設定が細かく、また見ていて疑問も少なくストーリーとしての面白みがあれば、古き良きジャパニーズホラーに通ずるものになるかも知れないが現段階ではそれは期待できなさそうだ。
次回作も予定されているが、きっと今度は怪物メインのエイリアン映画として通り過ぎる事だろう。