「秀逸なサバイバルファミリー映画」クワイエット・プレイス kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
秀逸なサバイバルファミリー映画
ホラーだと言われているが、殺人鬼や悪霊とかではない、「クローバーフィールド」や「ミスト」なんかと同種の“怪獣”だ。
異星からやって来たのか、得体の知れない狂暴な生物に人類は壊滅状態。
視覚はない。音に反応して、恐るべきスピードで音源を襲うバケモノたち。
耳が不自由な娘がいる主人公一家は、手話でコミュニケーションをとりながら、息を殺してこの世界で生き抜いている。
そして、妻が妊娠中という、よくぞ思いついたこの設定。
ホラー映画で親子が描かれることは珍しくはない。
子供を守るために恐怖の対象と戦わなければならない…という状況を作り上げるために。
しかし、この映画は、主題の比重がより親子の物語の方に寄っている。
もどかしくも親の思いは子供に伝わらず、親の方も子供の気持ちに気づいてやれない。
ごく一般的な親子の問題を主人公一家は抱えている。
ただし、この夫婦は極限の状況で生き抜く強さと知恵を持っている。
冒頭のシークェンスで、末っ子が犠牲になる衝撃のスタート。
きっかけとなったオモチャを持たせてしまった姉は、そのせいで父親から愛されていないと感じている。
母親は、その時その子を抱いていなかった自分を責める。リュックを背負っていたから両手は空いていたのに…と。
臆病で父のように強くなれない男の子は、父が気づいていない姉の喪失感に気づいている。
一家が考案したこの世界で生きるための工夫がアイディアに富んでいる。
次々と訪れる危機的瞬間の恐怖描写もまた、優れたアイディアに巧みな演出。
そして、子供たちの絶体絶命の危機を救うために父親が下した最後の決断。
親ならこれしかないだろうとは思う。
が、亀裂が入った娘との絆を取り戻そうとする最後の瞬間に手話が効果的に用いられ、胸を打つ場面だ。
母親と、産まれたばかりの赤ん坊と姉と弟。
4人を救うのは、父が娘のために改良を試みていた不完全な補聴器だというのも、驚異的な聴覚を持ったバケモノというアイディアにクロスしているし、補聴器というアイテムに関する布石もきちんと打たれている。
母親役エミリー・ブラントの渾身の演技は、観ていて息が詰まるほど。
破水し傷ついた足でバケモノから逃げる場面は圧巻。
そして、ラストの戦う決意の凛々しい表情。
さて、母と娘は、押し寄せるバケモノたちと戦い幼い弟たちを救って生き残ることができるのだろうか?
子供のいない自分にとって、父親という立場、観点から書かれたレビューは大変興味です。
クライマックスの一連のシークエンスは、どのような感情を持って父親の行動を見たかによって印象が変わるのだろうと思いました(°▽°)
kazz様、コメントありがとうございます😊
映画は多面的な解釈が可能なコンテンツであると思っているので、自分とは異なる意見のレビューを読む方が好きです!
その中でも、論理的なレビューや勉強になるレビューには❤️をつけさせてもらっています。