劇場公開日 2018年9月28日

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「中途半端だった」クワイエット・プレイス コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5中途半端だった

2018年10月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

『ライフ』みたいなワンテーマ映画で、ギャグ要素のない『マーズ・アタック』みたいなノリ映画でもあったような。

この映画は「子供を亡くした両親と、死んだ子の姉弟ら【家族の再生の物語】」が本質。
SFホラー的モンスターによってもたらされた、喪失と回復の物語。 怪物がテロ犯や、殺人鬼などと、同じ意味を持つわけです。
このことを正面から見据えた本編演出なり、宣伝なりをしてくれれば、素直に観られたかもしれません。

しかしタイトルから宣伝からなにもかも、「怪物的何か」から生き延びるためのホラー・サスペンスっていう謳い文句なおかげで、トンデモ方向に。

音に反応する怪物ってアイデアは、古くは『トレマーズ』から『砂の惑星デューン』の怪物。最近では2016年『ドント・ブリーズ』の殺人鬼まで、よくある設定で目新しさはない。

「音を立てたら即死」ってキャッチコピーなのに、予告編に音の出るオモチャで遊ぶ子どものシーンや、赤ん坊孕んでる妻なんて出てきたら、「バカじゃないの?」しか思わないですし。

本編冒頭から劇伴がうるさいために、静けさがないのもマイナス。

なにより、「生活音すら致命傷になる」といいながら映画演出に都合のいいだけでルール運用されているような曖昧さに、イライラする羽目に。
たとえば服の擦過音は?魚を捕るときの水面を歩く音は?とか疑問に思うし。
話し声がOKのときとNGのときがあるなど、おいおい、と突っ込みたくなる。
状況が分かってるなら、家の中で音が鳴ったり、怪我して叫び声をあげたりしそうな要素は全て外しておかなきゃダメでしょ。
食器一つ使える素材を吟味して使用するのが当たり前なのに。

この世界の人間は、『トレマーズ』のキャラ以下の知性しかないのか、人類の大半が怪物に殺されたらしいんですけれども。
洞窟などに大きな音が鳴る仕掛けをして、おびき寄せて爆殺すれば、簡単に全滅させられるじゃないの。
性質的な弱点は、怪物が出てきて、外観デザインからすぐに分かっちゃうし。

驚いたり、面白かったりという感情を引き起こさず、遊園地のお化け屋敷などのアトラクション的なテンション以外は特にないまま、最後までいっちゃってがっかり。

お安い「家族愛のお涙」が好きな人にはお勧め。

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コージィ日本犬