「Netflixではつくれない体験」クワイエット・プレイス ヘルスポーンさんの映画レビュー(感想・評価)
Netflixではつくれない体験
Netflixなどのデジタル配信への対抗からか、"映画館で観る"ということに特化した作品がふえているように思います。
映画館という暗闇で観るという体験を使った「ドント・ブリーズ」
大画面で観るという体験を使った「ランペイジ 巨獣大乱闘」や「MEG ザ・モンスター」
そして静かな空間で観るという体験を使った本作「クワイエット・プレイス」です。まさにクワイエットプレイスとは映画館のことですね。
本作はホラー映画でもありますが、ファミリームービーでもあると思います。主演のエミリー・ブラントと監督・脚本・主演のジョン・クラシンスキーは実際に夫婦でもあります。
クリーチャーの正体は結局わからず(メキシコに落ちた隕石からのエイリアン?という描写はありましたが。)、あんな状況で赤ちゃんを産むのはないんじゃないかと思いましたし、音を立てるリスクのあるものは片付けた方がいいんじゃないか?(廊下の額縁など)とか、突っ込もうと思えばいくらでも突っ込みどころは出て来ます。
しかし!私は本作の家族愛という荒々しくもまっすぐなテーマに感動しました。
クリチャーの弱点は娘を思う父親の気持ちがなければ見つからなかったし、子を守る母親の強さがなければあのエンディングはなかった。守られるものから守るものへ変わる(ジョン・クラシンスキーは母さんを守ってやれというセリフが何度も入る。)その瞬間のエミリー・ブラントはかっこよかった。
音ビックリ系のホラーは恐怖演出の手法として安易に感じあまり好きではなかったのですが、本作は音を立ててはいけないという緊張感が画面の中だけでなく劇場内にも広がっており最高でした。
また、突っ込みどころであった赤ちゃんですが、新しい命が生まれる瞬間と、赤ちゃんが産声を上げた瞬間が死を意味するという構造は中々面白いと思いました。
クリーチャーのデザインがベノムとストレンジャーシングスのデモゴルゴンを組み合わせたようなデザインで、そこまで新鮮味はなかった。音が弱点というのもサム・ライミ版スパイダーマンのベノムのような設定。
続編の可能性もあるとのこと。楽しみです。