「襲う側も襲われる側もガバガバ」クワイエット・プレイス KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
襲う側も襲われる側もガバガバ
クリーチャー側の設定も家族の対策もガバガバ過ぎて、粗の連発にツッコミが止まらず素直に楽しめなかった。
生活をする上で常に声も音も出してはいけないというのは観ている側も息が詰まってくるのが面白い。
おそらく宇宙人的な奴なんだろうけど、目は見えず(付いてない?)聴覚を頼りに狩りをしているとのこと。
その時点で疑問なんだけど鳥とか動物は良いのか?とか、音を発する無機物に一々大きく反応していたらキリがないじゃない?とか、無機物だけ食べちゃうこともありそうとか…
クラクション鳴りっぱなしの無人の車に襲いかかっている所を想像するだけで間抜けで笑える。
観たかんじ嗅覚も無いようで。流石に生物としてかなりの欠陥があるとしか。
あれだけスピーディーに襲えるのに主人公家族の時はやたらと焦らしたり、そもそもそんなに音立ててないのに執拗に家に入ってきたり。
まあそうしてくれないとスリルも何もあったもんじゃないので良いんだけど。
ジワジワ迫ってくるシーンの緊張感は楽しかった。
一番気になったのはあの状況下で子作りしてたこと。
妊婦となると格別に危うさが増すのでその設定は良いし、窮地だからこそ愛し合うのも分かる。
ただそれでどう出産や育児を乗り切るつもりだったのかと。
産気づいたら花火を打ち上げるにしても長引いたら終わりだし、何より赤ちゃんってギャーギャー泣く喚くものだし…
今回は幸いめちゃくちゃ空気読めるタイプだったらしく、小声しか出していなくて笑った。勘弁してくれ。
壁に額縁の写真をたくさん掛けていたのも引っかかった。なんかの拍子に落ちたらどうするの?と。平面に並べて置いておけばいいのに。
あと階段の釘放置は笑った。それでクリーチャーの足に刺さる展開があるかなと思っていたのに無かった…
クリーチャーの造形はかなり好き。
若干の既視感はあるものの、頭がグッパーンと開くつくりとか最高。硬そうな表皮の下のヌラヌラした赤い内部に萌える。
出し惜しみせずもっと見せて欲しかった。
捕食シーンもしっかり見たかったな。クリーチャーの恐ろしさが欲しい。
家族のドラマパートも長く思えて辟易としがちだったけど、父親の最後はなかなか胸打つものがあった。でもなぜそこで斧捨てた?とりあえず戦えば良かったのに。
あと申し訳ないけど私はミリセント・シモンズちゃんが若干苦手なのであまり入り込めなかった…
子供達を守るためだんだんたくましくなっていく母親は良かった。
グダグダ抜かしてしまったけど、ラストシーンの母娘がめちゃくちゃ最高にカッコよくてそれだけで結構満足してしまった。
なんだかんだモンスター物は大好きだし。
大きい劇場で観られて良かった。