「冷や汗ダラダラになりました」クワイエット・プレイス よねさんの映画レビュー(感想・評価)
冷や汗ダラダラになりました
物音に反応して捕食する謎のクリーチャーによって滅亡の危機に瀕した世界で生き抜く家族。僅かな物音も立てないように日常会話は全て手話、道に砂を敷き詰めて足音が立たないように裸足で歩くような生活を送っている家族を襲う悲劇。それでもなお生き抜こうとする家族にまた新たな試練が忍び寄る。
とにかく音を出さないように慎重に暮らす様を丁寧に描写していて、当然台詞もほとんどない静かな映画になっているので、観客もその世界にいるような錯覚に陥ってしまいます。音を出してはいけないという縛りが効いて、何気ない普通の動作ですらスリルを掻き立てる最初から最後までテンション張りつめっ放しの90分間は冷や汗ダラダラ。ただ怖いだけではなく、家族一人一人の心情もしっかり捉えているのでズドンと重たい人間ドラマとしても一級の仕上がり。
俳優陣は子役も含めて皆素晴らしいですが、やはり一家の母親イヴリンを演じたエミリー・ブラントの驚異的な熱演が印象的。前作の『ガール・オン・ザ・トレイン』で演じたアル中演技も見事でしたが、今回はどこまでも優しくどこまでもタフな母親像を体現していて圧倒的な存在感を示していました。
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