「悲しい世界にある小さな可笑しさが生きていく糧。」30年後の同窓会 だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
悲しい世界にある小さな可笑しさが生きていく糧。
リンクレーターなので観てきました。
同窓会ってゆう呑気なもんじゃなかったけど、良い映画でした。
サル役の人はトランボやってた人らしいです。役者の化け力すごいわー。牧師さんはマトリックスの人。バトルオブセクシーズで嫌いになりかけたスティーブカレルを愛したい気持ちになれました。
ワシントン役の彼もよかった。
サルとドクとミューラーはベトナム戦争の戦友で、ドクだけ海軍兵でサルとミューラーは海兵隊らしいです(確か)。
最近海軍と海兵隊は違うって知りました(コールドケース見て)。
そこでなんか事故を起こしていてドクは服役していたらしいです。
事故の内容ははっきりわからなかったけど、ベトナムでの任務に疲弊して医療用のモルヒネ?をドラッグがわりにしていて、本来の目的で使うべき時にはなかったせいで誰か死んだっぽい。その死んだであろう戦友の母に本当のこと(事実)を説明しようとして彼らは結果的に諦めていました。
ドクの息子ラリーも、海兵隊(だったよね?)になり、イラクへ派遣され、死んだ。
で、軍の説明は任務中にってことだったけど、本当はなにかをワシントンのがわりに買いに行って、殺されたってものだった。
軍の人がお悔やみをいう時の常套句が「大統領が哀悼の意を…」ってやつで、すごく空虚な言葉に聞こえた。
サダムフセインが捕まった時の映像が、あの頃を思い出させた。
エミネムのことはもっと後で知ったので曲聴いでわからへんけど、自分にとっての''あの頃''を想起させる小道具には琴線が揺れる…
2003年頃。21から22歳。大学4回生。あぁ!
反戦映画だなぁとおもいました。やらないでいてほしい。殺したくないし、殺したくない。あたしもそう思う。
どうやってそれを実現すれば良いかはわからない。
ドクの息子の死の悲しみ、軍人時代の後悔、繰り返される戦争への憤りが映画全体の雰囲気としてあります。
そこに時々ふっと笑えるおかしなことがあるんです。
息子の棺桶を囲んで童貞喪失の話とか、プリペイド携帯を買うくだりとか。
悲しみ、後悔、憤り。それは多分世界の日常。
でもその世界を歩む糧として、ちっさな喜びが時々転がってくる。
そういうもんだねって言われたように思い、そうだねそう思うと、私は無言で呟きました。
ドクは軍の怖い偉い人の圧力を、跳ね除け、地元で葬儀をし、妻の隣に息子を埋葬しました。
埋葬後のパーティで息子の親友ワシントンが息子の遺書をドクに渡します。
そこには母の隣に埋葬して欲しいと書かれていました。
ドクはその遺書を読んでぐっと感動していた様子でした。私は、ドクは息子さんの望みを叶えてあげられたよ、良かったねって思い、涙がひとつぶこぼれました。
あ、サルと牧師さんの埋葬時の軍服姿は、笑かすつもりはないと思いますが、私は大いに受けました。声を出して笑いましたとも。他の観客は笑っていませんでしたが…