「誰だって、かつては何かだった」30年後の同窓会 KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
誰だって、かつては何かだった
見事なまでにバラバラな性格の、三人のおじさんのロードムービー。
予告編やあらすじをちゃんと見ていなかったので、悲壮感のあるドクの境遇にいきなりショックを受けて始まる。
常に悲しみの付いてまわる道中を、コミカルなタッチと柔らかい空気感で包んだ描き方が好き。
エミネムのWith out meが流れた時は超興奮した。
舞台は2003年だから、そうか、エミネムがヒットして間もないくらいなのか。
感傷に浸ったかと思いきやクスクス笑えるジョークを飛ばし、挙句下ネタ談義で大爆笑。
細かいギャグに分からないものがあって残念だったけど、ワシントンを交えての下ネタ談義ではあまりにも爆笑の四人につられて私もかなり笑えた。
やはり下ネタは世界共通で笑ってしまうよな〜と少し実感。笑いすぎて声が裏返っちゃうドクがまたおかしくておかしくて。
写真以外では一度も姿を見せないドクの息子、ラリーJr.の葬儀は本当に涙が止まらなかった。
かつての軍服の正装に身を包んだサルとミューラーがかっこよくて、国旗を畳んで渡すその厳かな敬礼が胸に刺さってたまらなかった。遺言書の件も本当に良かった。
ドクとサルはこの後、グリル&バーの店でパートナーとして働くのだろうか。
そうなって欲しいなと思うし、仮にそうならなかったとしてもドクは腐らず生きて電話でいつでも繋がれる友達と談笑するんだろうな。
愛する家族に先立たれ、おそらく生きる意味も無くしていただろうドクが、頼る先にサルとミューラーを選べて良かったなと心から思う。
戦争体験と罪の意識も共有した友達がいたからこそあの素晴らしいラストに繋がったんだなと。一人じゃなくて良かった。
私も何かあったときに心を寄せられる友達はいるだろうかと考えずにはいられない。