「CGにおけるシズル感」アリータ バトル・エンジェル にょむさんの映画レビュー(感想・評価)
CGにおけるシズル感
原作未読なので対比とかではなく、映画を観た印象のみでレビューします
と、その前に…
昨今の映画で映像美的な事を殊更賞賛するのもなぁってくらい"これくらい作れるんだ"というのがもはや当たり前になっている事実を再確認
もしこれが30年前に突然作られたとしたらもはや魔法だよね
映画史のCG技術の発展はゆるやかではなかったけれどある程度の段階は踏んできた
だからジェラシックパークの登場は当時センセーショナルだったし、T2の流体金属描写にはインパクトがあった
そしてCG動作にややある"ぎこちなさ"や不気味の谷現象などを経て、現在ではCGなんだけどいちいちそれを気にする必要がないくらいに映像に溶け込めるクオリティに達した
今回、アリータの"表情"もそうだけど、キャラクターのアクションやレースの動きもアニメ仕様(orゲーム仕様)と言って差し支えないくらいの一種のデフォルメを感じながら、それが背景に溶け込み、アリータ自身も周囲の実写キャラに不思議と溶け込んでいる
アリータの表情はパフォーマンスキャプチャーという技術のようだけど、これはCGじゃないと出来ない
昔だったら美しいロケ地だとか、演出の為の大掛かりなセット、特殊メイク、アクロバティックなスタントマンが各々の業を駆使して映画的効果を構成した
でも今ではそれがCGでできてしまう
勿論、今まで関与してきた人材が不必要となった訳ではないけど、CG技術を前向きに取り込んだ結果、取り込んだのか取り込まれたのかそこらへんはかなり曖昧になってきた
今回、映画としてのストーリーラインのみで言えばそこまで眼を見張るものではなかったし、アリータのキャラも結局のところ手を替え品を替えのパターンで類型的に感じた
なのにつまらないと感じなかったのは映像美と、おそらく原作の絵柄や雰囲気に寄せたアニメ仕様のアングルやテンポが観る者を飽きさせなかった
専門的に言えば"新しい事"も沢山しているのでしょうけどそこら辺は素人なので全然わからない(^_^;)
ただこの映像美の刺激にそろそろ慣れてきた←
となるとやはり脚本の細部に目がいってしまう
今回、興ざめしてしまったのは3点
①テクノロジーが発達した世界で監視力もあるのに、大事なシーンで見え透いた冤罪がまかり通る点
②擬態の死でセキュリティを欺ける点
③アリータのヒューゴに対する想い?
彼に心臓をあげて2人で上の世界に行こうとは持ちかけるのに、冤罪については信じてあげる事ができず、五体砕けて落ちていく彼を追って落ちたりはしない(むしろなんで空飛べないのよ?ってなる)
そしてこのシーンがあるのは①の冤罪が原因でしょ?
なんか誘導が雑
これ、ストーリー上のご都合主義ってやつじゃん
これで台無しになった感があるんで勿体無いなとは思う