万引き家族のレビュー・感想・評価
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斬新な視点で描く家族の在り方
正直、驚いた。今まで、こんな家族なんか観たことなかった。私の家族感は崩壊してしまった。本作は、極めて日本的な雰囲気で究極の家族を描いた是枝監督の渾身作である
訳あり5人家族は、祖母・初枝(樹木希林)の年金を当てにして、万引きを生活の糧にして昭和レトロ感溢れる一軒家で暮らしていた。ある日、浩(リリーフランキー)は、寒さに震えている子供・じゅり(佐々木みゆ)を見過ごせずに家に連れていく。妻の信代(安藤サクラ)はじゅりの腕の傷をみて引き取ることにする。その日を境に、家族の生活は徐々に変化していく・・・。
じゅりを加えた6人家族は貧乏だが、いつも明るい雰囲気で本音を言い合っている。演技巧者を揃えた家族の会話は、本当の家族の日常を切り取ったかのように自然で生々しい。明日はどうなるか分からない。だからこそ、彼らは、今日を悔いなく懸命に生きている。それが彼らの明るさの理由だろう。
大人4人は純粋な善人ではない。一癖も二癖もあり狡賢い面を持ち合わせている。そんな4人が紡ぎ出す家族の絆は生々しい。家族の絆は家族になれば自然にできるものではない。互いを強く想って築き上げるものだという作品メッセージに心揺さぶられる。また、本作は幼児虐待という今日的なテーマも取り入れている。幼児虐待に対する信代の台詞には説得力がある。粗野だが、全身全霊で子供を守るという強い母性が感じられて胸が熱くなる。安藤サクラの決意を滲ませた演技が秀逸。
終盤、ある事件が発覚し、そんな家族はバラバラになり独白という形で一人一人の過去と家族への想いが語られる。特に信代と翔太の台詞が、この家族の素晴らしさを端的に現わしていて心洗われる。安藤サクラの抑制の効いた凄味ある演技が出色。
本作は、打算による相互依存でできただろう家族が、毎日を共に懸命に生きることで、互いを思い遣る気持ちが芽生え、徐々に絆を深めていく物語である。斬新な視点で描いた家族の在り方が心に突き刺さる秀作である。
みにくいもの よわいもの
仕事柄、こういう人たちによく遭遇するので、よくある「考えさせられた」みたいなテキトーなコメントを打てない。
こういう、下層とされ、貧困状態にある人たちに対して、ぶん殴りたいほど腹立つこともあれば、自分の力では考えもつかない発想を見せつけられて、自分の無知と無配慮を恥じることもある。まあ腹立つことが8割だけど。
池脇千鶴と高良健吾は損な役だが、あれが世間なので。
この映画を不快だとか日本の恥だとか言ってるレビューもたくさんあったけど、その通りで間違いない。この映画で描かれているような面が日本にはある。そういうことを知らないで生きられるという自分の幸福に気づかないまま、無意識に下層を見下し続ければいいと思う。
彼らのような人の存在をありえないと思う人がいる限り、虐待も貧困も増える一方なのよなぁと思った。
安藤サクラも松岡茉優もよかったけど、何より樹木希林よ。みかんの食べ方がやばい。貧困世帯のばあさんでしかない。怖いよ。
ずーっと、なんだかんだ言ってこの家族なりの絆はあるやんと思っていた。でも各々事情聴取を受ける中で、松岡茉優が家族から樹木希林への援助を知ったときの様子や、安藤サクラが池脇千鶴から「じゅりになんて呼ばれてたの?」と聞かれたときの反応などを見るに、「実は当の本人たちが一番自分たちの絆を疑っていた」感が出てるような気がした。
ほんとに絆があったら、警察の言うことなんか蹴散らすでしょ。
社会制度から爪弾きにされて、そこにうっすら反発して生きて、それでも社会制度に100%抗えていない様子が、なんともリアルではあった。
家族の絆とは何?家族の原点とは何?結論は出ない
児童の虐待が目につく昨今、ユリに一番感情移入した。
ユリ以外は一つの家族と思いながら見ていたが物語が進むにつれみんなバラバラというのがわかる。
そんなことは気づかせないような万引きを軸にした貧困でも暖かな家族。
虐待されていたユリをかわいそうに思いそのまま引き取って(誘拐ではない)育てるなんてそんな暖かい家族が今の日本にいるだろうか?
もし自分がそう思っても行動には移せない。
自然にそういう事ができる素晴らしい家族なのだ。
バラバラになってからの家族はどうなるのだろう?
元の家族の元へ戻る人、旅立つ人、刑務所で何年も服役する人。
それぞれだろうけれどやっぱりゆりが気になる
ゆりちゃん、幸せになってね。
それにしても警察や児童相談所は映画の中でも機能していないように見える。
この家族の行く末
樹木希林や安藤サクラの存在感はもちろん、子供たちの何気ない行動や言動を演技の枠を超えた自然な振る舞いとして演出する是枝作品の十八番も相変わらず健在だ。
社会的な問題をテーマに取り込んだ作風にも見えるが、この疑似家族が解散した後の子供たちの様子をエンディングに持ってくるあたり、まあストレートに"本当の愛情とは何ぞや"と言うことなのではないかと思う。
個人的には松岡茉優演じる亜紀のその後が気になった。
凄い作品だ👍
「家族」とは
キャスティングが最高、身に迫る演技に引き込まれました。
治(リリー・フランキー)の事を最後まで「お父さん」と呼ばなかった祥太(城桧吏)の意味が伝わってきて,泣けてきた。
警察官の質問に対して信代(安藤サクラ)が最後の方まともに答えなかった気持ちも伝わってきて、、、。
「家族」というテーマに切り込み、問い続ける監督と、演者たちの絶妙な感情が画面越しに伝わってきた。
子供たちのキラキラとした飾らない姿が、この作品でも。愛おしくて素敵でした。
「誰も知らない」や、監督違うけどドラマ「幸色のワンルーム」でも思った事だけど、世間がいう正しい形ではないからと言って排除したり否定しないで欲しい。彼らの居場所に踏み込まないで、そっとしといて欲しい。
何が正しいのか、自分や世間の考えだけで勝手に判断し行動しないで欲しい。それが及ぼす影響をもっと考えて欲しい。
樹木さんが素晴らしい。
描いてる世界観と演者さんの清潔感がミスマッチで気持ち悪い。その中でも樹木さんの化かたは秀逸。
映像は流石です。が、その美しさが哀しさをより際立たせる技巧となってる様には見えない。
キッカケとなった児童保護施設の女の子に対する考え方も、監督の富裕層特有の目線で共感できない。し、深掘りできてるとは思えない。
問題提起するだけなら、ドキュメンタリーを撮れば良い。
世界の流行りに乗って賞を取ったから、観たという感じ。
法律とルールとモラルと
2回見た。
1回目で答えが出せなくて、
もう1回見た。
答えがでた。
「これは結論を出してはいけない。」
という答えがでた。
3回目見ると別の答えが出るだろう。
5年後見たら別の答えが出るだろう。
そういうテーマ。
保険に入るおばあちゃん。
押し入れに住むショウタ。
風俗の客の涙に共感するアキ。
お風呂でも水着を着るリン。
見えない花火を楽しむ家族。
「自分で選んだ方が強いんじゃない?・・・絆よ。」
でも1度もお母さんと呼ばれたことはない。
海ではしゃぐ家族を見て独り言をつぶやくおばあちゃん。
何を言ったのだろうか。
逮捕後“家”に戻ったアキ。
あまりにも変わらない家に何を思ったのだろうか。
バス停でショウタの肩に手を乗せるのを、ほんの一瞬ためらう父ちゃん。
「わざと捕まったんだ」から父ちゃんの姿が見えなくなるまで
振り向かないショウタ。振り向くのをガマンしたのか。
ビールケースに乗り遠くを見るリン。
何を見つけたのか。
来年このレビューを見た時、
果たして私は同じ感想を持てるだろうか。
今から楽しみだ。
是枝ワールド全開
いい意味でも悪い意味でも、相変わらず淡々と進むストーリー。しかし、複雑に入り組んだ「家族」の形を通して、家族とは一体何なのかをじんわりと問う。
血の繋がりが家族なのか?互いの気持ち?SEX?お金…?
犯罪者であろうと警察であろうと、何にせよ一方向からの正義なんて存在しない。世の中は簡単に線引きなんかできないのだ。バス停で祥太が放ったひと言をあなたはどう捉えるか?パルムドール受賞の名に恥じない良作です。
家族、幸せって何だろう
本当の家族、幸せって何だろうと考えさせられる。
血は繋がってないし、お金はないし、ゆっくり出来ず、好きなことが出来てた訳ではないけど
あのころが幸せだった、ということを俳優の表情と目で表現していたのが素晴らしい。
海辺でみんなを優しく見つめる樹木希林。
取調べを受けながら何かを思い出し、遠い目をする信代。
最後にもう1回”我が家”を見に来るアキ。
バスを追いかける治を目で追い続ける祥太。
そして、ラストシーンの何とも言えない・・・リンちゃん。
みんな家族だった。そして何か、悲しい。
子役二人の名演
恐らく万引き家族がパルムドールを受賞した決め手の一つは子役二人、城桧吏君と佐々木みゆちゃんの演技だったのではないだろうか。
城君とみゆちゃんの表情と眼で語る演技、闇を体現したかのような演技、素晴らしい。
本当にそういう経験をしてきたのではないかと思わせてしまう説得力。
感動させられました。ありがとう。これからも応援させてください。城君、みゆちゃん。
色々間違ってるけど間違ってない
深かった。多分まだ理解しきれてない気がする。
いろんな社会問題と家族の在り方について考えさせられた。法的には認められない家族だけど、当事者たちからしてみればお互い支え合っていて、純粋な絆で繋がっていたのかも。
チョイ役の池松壮亮はいらなかった
映画館では2018年6月11日地元のイオンシネマで鑑賞
それ以来3度目の鑑賞
カンヌで賞を貰えた作品はそのほとんどがつまらない(あくまで個人の感想です)
だがこの作品はわりと自分には合っていた
高く評価している多くはリベラル(笑)で酷評している多くが保守(笑)という印象がある
映画館でこの作品は初めて観た当時は樹木希林にリリーフランキーに安藤サクラで松岡茉優ってだれ?って感じだった
寄せているのかもしれないが松岡茉優の胸がわりと大きくて意外だった
ヌードの期待もちょっとはあったがそれは叶わなかった
親友の伊藤沙莉より世の男性の多くが喜びそうだが不特定多数に見せたくないならそれも良かろう
代わりに安藤サクラが一糸纏わぬ姿に
ついでにリリーフランキーも
自分は学士様ではないので貧困問題とか家族の在り方とかそんな小難しいことには全く興味がない
自分は万引きけしからん!共感できない!などというヤフコメ民のようなクソつまらない教条主義者でもない
だからこの映画を純粋に楽しめる自分は幸せ者だ
是枝の理屈は嫌いだが彼が創り出す非凡な映像は好きだ
この点が楽しめない凡庸だと感じる人には是枝作品は根本的に向いていないので観るべきではないしレビューしない方がいい
そういう人の為に是枝監督はメガホンを握っているわけではないのは明らかだし是枝ファンからすれば可哀想な人と思うほかないだろう
あと役者の芝居ですね
ストーリーが大事なのはわかるけどたとえ駄作でも魅力的な役者がたくさん出ていればわりと満足できるんですよ一般の映画ファンは
そうじゃない通の人たちには無理ですね
もちろんストーリー的に万引き家族が駄目というわけではない
「家族」で海水浴に行くシーンが印象的
そこから突然お婆さんの最期に移る構成も良い
亜紀の父親役に緒方直人
亜紀の母親役に森口瑤子
映画comの出演者欄には記載されていないが亜紀の妹役は『おかえりモネ』でモネの妹役も演じている蒔田彩珠
夜逃げできなかったリリーフランキーの表情が良い
ゆりの実父役に山田
ゆりの実母役に片山
「家族」の取り調べをする刑事役に高良健吾と池脇千鶴
供述する「家族」のシーンが最高
是枝監督は子役を生かすのが上手な監督だなと改めて感じた
余裕はないけど護りたいもの
リンの虐待を警察が見逃したのは「産んだ母親だから」なんだろうか。婦警の「産まなきゃ母親になれない」は養子縁組を軽視しているのでは?と。
それとクリーニング店でバイト2人に退職相談させる処。実際に、派遣社員やバイトで良くある話。雇用主が自己都合に持っていく典型的なやり口で、胸が痛くなった。
弱者どうしの助け合いは、窮地に陥った途端に信頼関係より自己保身に取って変わる。
絆というより、細いより糸のような家族関係。些細な歪みで糸がプツリと切れてから、一気にウソがバレて疑似家族の信頼関係が破綻していくのがいたたまれない。
ところで、さやかが実の家族から離れた理由が曖昧ではないかと。
親の愛情が妹に偏ったからと言って家出して風俗嬢になるだろうか?他の家族と違い、暴力のない経済的余裕がある実家があるからあっさり見切れたんだろうか。
他に行くところがなければ、万引や後ろ暗い過去を隠しながら、今居る場所に執着するしかない。
貧困とは、選択の余地がない状況なのだと思う。
万引き少年
映画館で観ました!レンタルでも観ました!地上波でも観ました!
10回以上は観ました!
そこでようやくタイトルが「万引き家族」だと知りました 笑
それくらい城桧吏くんが魅力的でエロさもあって、この子が新の主人公な映画だと思います。
3年ぶり2度目
『パラサイト』と被る。こちらが韓国はこういう文化なんだと思う反面、日本はこう思われてるのかと思う作品。でも実際は双方とも限られた人々の生活実態なのかと思う。
日本人としては?めちゃくちゃ面白かった。パラサイトとの差は脚本の違いかな。演技的には断然こっちと思った。
安藤さくらさんが秀逸。日本を代表する女優。
全692件中、41~60件目を表示