万引き家族のレビュー・感想・評価
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誰も幸せになってない
出演者全員の演技は見事に素晴らしい、微妙な言葉ひとつひとつから複雑な人物相関図を読み解く推理的観点は面白いかも。でも観終わった後、けして心地いい気持ちで席は立てない映画。なぜなら誰も幸せになってない。自分の映画好きはやっぱり観終わった後の幸福感を感じることが映画鑑賞の醍醐味。高い評価はつけ難い。
本当の家族の絆
1人では生きては行けないであろう、血の繋がらない個々の人間が家族を構成している。高齢者、派遣労働者、パート主婦、虐待を受ける子供、高校に行かないで売春をする少女。高層マンションに囲まれたボロ屋に住む偽家族の絆は脆くも壊れてしまうが、これが日本の格差社会の問題を見事に浮き彫りにした作品なのだと思う。
えげつない男を演じると断トツに輝くリリー・フランキーと決して美人とは言えないがエロスを感じる女優、安藤サクラの演技が光っていた。
切なさと温かさが残る映画
社会の底辺にいる貧しい家族なのに、なぜか羨ましくなってしまう。誰かを頼り、頼られることが温かさを生むのだと思った。「産んだ人が母親」だど言う刑事の正論にうなずけるだろうか。ゆりが来たことで家族の絆がギュッと縮まるのが切なさを増す。樹木希林の存在が息苦しさをなくしてくれる。
様々な社会問題を本気で理解してない人には伝わらない映画
本作を見て、メッセージが伝わらなかった人に是非見ていただきたいレビュー。
私も見ている時は本質を理解ができていませんでした。
本作で取り上げられた社会問題
万引き、DV、障害者の風俗、年金詐欺
拉致、強盗、売春
『私たちは恵まれた環境で育ってきた』
これを十分理解して見なければならない。日本は、私たちが育ってきた環境はとても平和ボケしている。世界中には、いや、日本にも普通に生きるのが難しい問題を抱えて生活している人がたくさんいる。それを理解しなければならない。
『社会から見放された人について』
障害者の風俗通い、学校に通わすことのできない家庭、売春でお金を稼ぐ高校生、少な過ぎる年金で暮らす高齢者、働くことのできない大人。
「馬鹿だな。それは自分が悪い。」で片付けてしまっていいのか?
制度は作ってる?
じゃあその人たちに伝わっているのか?
そもそも、それはパフォーマンスだけの制度じゃないのか?
その人たちのことを本気で考えている人なんているのか??
そんな少数派のために尽力できる政治家なんているのか?
自分たちとかけ離れた人たちを気にかける人はいるのか?
と私たちに訴えている。
彼らのような、社会から見捨てられた人達に僕達ができることは何も無いのか。
『家族について』
血が繋がってなくても、どんな関係だろうと、家族になれる。
世の中の多くの人が家族の定義を勝手に作っているだけ。思い合うことが1番大切なのに、それを放棄して血が繋がっていれば家族だと、信じ合えると言い聞かせている。本質を見失った家族ほど、他の家族にケチをつける。おかしいという。家族は比べるものなのか。思い合うことを忘れては行けないし、様々な家族の形を尊重しなくてはならない。
『フェイクニュースについて』
私たちは事実にしか目がいっていない。しかし、それは真実じゃない。
世の中に広がるフェイクニュース。確かに事実。だけど、真実のほんの一部分だけがニュースとなっている。過去にどんなことがあったか、なぜこんなことをしたのか、そのような視点が必要だと訴えてる。
刑事の目線は私たちのような「関係の無い人たち」の目線。刑事「それは家族といえないでしょ」 ←決める権利ない
拉致された子を家に返す。虐待がまた始まる。しかし、私たちにはなにも出来ない。誰かがどーにかしてくれる。私たちには関係ない。
そんな世の中で、虐待を受けている子供を救う手段は、『拉致』しか無いのかもしれない。現代では。
最後まで読んでいただきありがとうございます。正しい解釈では無いかもしれません。批判も真摯に受け止めます。コメントお願いします。
まさにタイムリーな作品
カンヌで最高賞というので、観てきました。
賛否両論あるみたいですが、自分はいい作品だと思います。
血が繋がっていなくても、「こっちの方が幸せなんじゃないのか」と思わせるような、そんな気にさせられる。
まさに現代社会にとってタイムリーな、家族愛がテーマの作品です。
技術への賞賛
ここ十数年、映画館で邦画を観ることのなかった自分ですが、この作品には素直に、映画館で観たい、と思わされました。
日本映画を敬遠していたのは、単純に、日本の俳優への憧れが薄かった(演技どうこうでなくルックスの好み)のが主な理由でしたが、他にも、技術面でのチープさが目についたり、商業的キャスティングであったり、漫画原作の無理くりな実写化であったりと、どうにも、観る気にはなれなかったのです。
しかし、今作は、そういった要素がほとんど感じられず、日本の技術力に見合った作品であるように思いました。
とくに、今作の主な舞台である雑然とした一軒家の汚さや、主人公たちのみすぼらしさが、なんとも自然で、日本のメイク業界も捨てたものではないな、と改めさせられました。
ほかの邦画作品も、こうした汚しの技術をもっと盛りこんでいけるようになれば、世界にも通用する映画作りが、業界全体に定着するのではないでしょうか。
素晴らしい
まず、この映画をみて思ったのは家族の形は多様であり人それぞれであること
本当に居心地の良い場所とは?血が繋がっていなくても人は家族になれる 人情がとても感じられる映画でした
かくゆう私も幼少期から施設で育ち本当の親とは今でも疎遠です ですが家族のような方に囲まれ生きています
子供たちは親を選べない。子供達の居場所は?強く私の人生に描写してしまう場面が多々あり胸にこみ上げるものを抑えきれませんでした 本当に良い映画でした
女の子
目黒で虐待を受けて亡くなった女の子も、この劇中の女の子のように泥棒でも良いから人間らしい人に助けられれば良かったのに。。。
と。
貧困に喘ぐように生活している人が、劇中の家族のように他人に施す余裕があるのか?と。
現実は、もっと厳しいと思う。
映画としては良かった。
よきよきですね
そんなに難しくもなく見やすい映画でした。
途中途中笑ってしまう所もあり楽しくみれました。
見終わった後にこれを言いたかったのかなと思える作品でただ家族が万引きをして生活をしてるだけの話じゃなかったです。
これは見ないとわからない題名だけではわからない作品ですね。
犯罪にクローズアップしたものではない
久しぶりの是枝監督の作品。邦画はあまり鑑賞しないが、パルムドールを受賞したこともあって期待も大きかった。
ストーリーは家族のようで家族ではない人達が貧しい中で犯罪をしながらも生活をしているが…というもの。
犯罪や家族、複雑な人間関係とテーマは重く、重い雰囲気が漂う。しかしながら、本作の特筆すべき点でもあるユーモアを交えた家族の会話がちょっと笑えて素朴な家庭を演出していた。やはり、脚本が素晴らしいと感じる。家族は犯罪で繋がっていたかのように見えて、固い絆で繋がっていたことは言うまでもない。
事件が起こって家族の内情が露呈してからも見もの。それぞれのキャラクターがそれぞれの形で家族を思いやる、その描写に泣ける。
素晴らしい俳優陣の演技が本作の描写にリアリティを与え、絶妙なバランスの映画に仕立てた。特に安藤サクラと樹木希林が完璧な演技であった。
この映画に対して否定的な意見を持つ人も多いみたいだが、素晴らしい映画であることは間違いないだろう。是枝監督は映画の捉え方を全て鑑賞者に委ねた気がした。ラストシーンには何かを問われた気分だった。シリアスなテーマの中にハートフルな要素を組み込み、一つの稀有な家族の形を赤裸々に映し出した本作は多くの人を魅了するに違いない。
世間は見て見ぬ振り。
家族の実態が淡々と明らかになって行く過程は目が離せなかった。
登場人物のリアルな日常とセリフに興味を引き付けられた。
それと同時に上から目線で観ている自分がいた。自分とは住む世界が違う、どちらかと言えば関わりたくない人たちの日常を。
だけど次第にこの家族をとても羨ましく見守って観ていた。
登場人物の素性がわかった時には特に驚く事もなく現実社会でよく耳にする話しだなと納得していた。が、その現実社会は実は普通ではなく異常な状態である事にエンディングの音楽でハッと我に返ったのである。
この感覚の根源は自分自身なのか社会のせいなのか。
現実は見て見ぬ振りである。
2020年の東京オリンピックに向けて日本に対する世界の関心がピークになろうとしている今、賞を獲ったことでこの映画は世界中に知れ渡ることとなり、同時に日本の実情をも知らしめること間違いない。
美しい国。おもてなしの国。クールジャパン。万引き家族。
優しさ
冒頭よりの子役の万引きシーンは、闇金ウシジマくんを見てるようで汚いモノを見る感覚になった。
万引きがこの映画の重要要素でないのに、タイトルに付けたのはインパクトをつけて底辺臭を雰囲気付ける為と理解した。
それぞれに家族ゲームに寄せる想いが違うのがいいね。金、優しさ、温もり、ママになること、師匠、母性など求めて寄り添っている。ここでの悲しさは萎縮して生活しなければならないこと。子供たちはそんなことを感じず、屈託無く生活している点が良かった。
あと印象に残ったシーンは、皆さま言われるように安藤さんの取り調べシーンと、エンディングの婆さんに習ったと思われる数え歌をうたうシーン。最後に偽物家族の絆を感じ、優しさを想像できた。
いい映画でした!
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