万引き家族のレビュー・感想・評価
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文句無しのパルムドール賞!
自分は今「万引き家族」を観た1時間くらい経過してこのレビューを綴っていますが、
あまりにも頭の中がこの映画の場面一つ一つが走馬灯のように駆け巡っているので、
何から話したら良いのか、
どう言葉を作って良いのかわかりません。
それだけこの映画に感動出来たと思って頂いて結構です(笑)
それでもその中から、頑張って言葉の欠片を拾い集めながら記載していこうと思います。
万引きで生計を立てている家族がいて、父親と息子がある冬の寒い日に帰りの夜道を歩いていると、部屋に一人でいる5歳の女の子を見つけ、家に連れていく。
そこから物語は始まります。
物語自体はキャストが自然な演技をすることであたかも実際に起きてるかの如くリアルに見せるモキュメンタリー風な演出で見せています。
これは、是枝監督が「誰も知らない」という柳楽優弥主演の映画で見せた演出と同様です。
そしてもう一つ、子役の演技を上手く見せる演出も行われています。
これはどのような手法で行ってるかは解りませんが、先程の「誰も知らない」と僕の好きな「奇跡」という映画でも行っていて、恐らく是枝監督の最も得意且つ独特な演出技法だと言えるでしょう。
この方法で演出してくれた結果、本当に子役の演技には引き込まれました。特に女の子を演じた佐々木みゆちゃんが映る時は何回も涙目になりました。
そして、演じた女の子のキャラクター像を観て考えさせられました。
少しばかりネタバレしてしまいますが、この女の子には虐待の跡がありました。
これについて、最近似たような事件があったと思います。
女の子を親が虐待した挙げ句に亡くなってしまうという事件。
その子も、映画の女の子と同じ5才でした。
観ている時に凄くこの事件を思い浮かびました。
映画に出てくる親も無責任で最低な両親で、その行動を観るや、「こういうやつがあの事件を起こしてしまうんだ」と悟りました。
作品がその事件の直後に公開された事を考えると、非常に複雑な気分です。
これについて監督はどう感じたのかも気になります。
こうやって絶賛はしているものの、前半部分は家族の日常部分を映しているのですが、ここまで引き込まれていませんでした。しかし、決定的に引き込まれたのは後半部分の演出です。
ワンカメでリリー・フランキーや安藤サクラのドアップで映し出されます。
邦画ではよくある手法なのに、キャストの演技の良さも相まって、気が付いたら釘付けになってる自分がいました。
単純な演出でありながら本当に素晴らしかったです。
上でも記載しましたが、キャストも非常に素晴らしいです。
主演は恐らくクレジットが一番上に来てるリリー・フランキーだと思います。
ですが個人的には、主人公はこの家族6人全員だと思います。そして全員が演技良かったので、もし僕がどこかの映画賞の審査員ならこの家族キャスト全員に主演俳優賞を贈りたいです!
今年観た映画で、そして僕が今まで劇場で観た映画の中で、こんなにも映像に釘付けになった映画は他にありません!
カンヌ国際映画祭で最高賞を獲ったのも充分理解が出来ました!
改めて言いますが、
是枝監督、本当にパルムドール賞受賞おめでとうございます!
余談ですが、映画というのはあくまでも娯楽作品だと思っています。
ですので、あまり娯楽に長けてない社会派の作品ばかりが日本の映画賞を受賞したり雑誌のランキングに入れる事に前々から疑問を抱いていました。
それは、社会派のものが作品として全部が良いとは思わないし、演出面やカメラワークが良くない作品も多いからです。
しかし、今回の「万引き家族」のように演出やキャスト面でも良い要素があると納得出来ます。
何が言いたいのかというと、
話の良さだけで無く、演技、カメラワーク、音響、演出でも良い、こういった作品が評価されてほしいということです。
日常と非日常
いいと思う
愛情でつながる関係はあたたかい。
前に見た「at home」に設定が似ていたので、それと重ね合わせてしまう。だが、窃盗だけで生きているのではなく、いろいろな要素が入っている。
幼児虐待(DV)・窃盗・年金問題・貧困問題・日雇いの労災問題・不当な解雇など今の日本が抱えている問題がサラッと出てくる。
ホントの子どもではない2人と夫婦、年金という名の金をもぎ取る祖母の金をあてにしている、血縁ではなく愛情でつながっている家族。貧困ゆえそれなりに万引きをしないと生活できないゆえ、完全なる万引きの方法を父親から伝授する。
近所の駄菓子屋のオヤジさんのシーンが気になった。
ボーっとしていて絶対気づかないだろうオヤジが、実は万引きしていること、万引きする時のルーティーン、全部知ってて、妹だけには万引きをさせてはいけないささやかな配慮。とても切ない気持ちになった。
妹が虐待するホントの家ではなく、万引き家族に戻りたいというのは居心地の良さ、愛情を心底感じられたから。万引き家族には虐待などは全くなく、相手を思いやる、尊重する「仲間」だった。
色んな感情でぐちゃぐちゃになる
是枝監督、あらためて受賞おめでとうございます!!
感動よりかは心にグサッとくる作品。さらに、子供の虐待のニュースがリアルタイムで発生している中での鑑賞なので、さらにグサッとザクっと心にしみた作品でした。
絆はあるんだけど、とある理由を持つ1つの家族。生計は万引きと若干の給料とおばあちゃんの年金で生活をしていたけど、やはり長くは続かない・・・。
でも、家族としての絆は成り立っている。作品を観ても、食事のシーンや何気ない会話シーン(特に安藤サクラさんと松岡茉優さんの台所での会話や松岡茉優さんと樹木希林さんとの娘とおばあちゃんの会話シーンは少しのシーンだけどよかったぁ~)や海水浴場へみんなで遠出をして海で遊ぶシーンはもう家族なんですよ。でも、子供に万引きさせたりするから、同情はできない面もあるんですよ。でも、こういう理由があるからこうなんだ・・・という意見も若干同情できることはあるんですよ。是枝監督お得意の家族映画の演出の上手さはさすがと思います。
ストーリーもいいけど今回はメインキャストメンバーの演技はすごかった。とくにダントツで子役の演技はすごすぎました!!次世代の柳楽優弥とも言われている子役、城桧吏くん(もうまさに「誰も知らない」の時の柳楽優弥そっくり!!)もすごかったけど、佐々木みゆさんの演技もすごかったぁ~~ネタばれになるから詳しくは言えませんが、まさにいい兄妹なんですわ。
でも、今回はみんなすごかったですよ!!すばらしい!
わけありの1つの家族を中心に家族の過去がわかっていくうちに、今の日本が直面している生活問題を描いておりクライマックスへ向かっていく。日本ではあまり報道されない社会問題を描いたことがカンヌで高く評価されたんだろうなと実感させられました。
あらためて、是枝監督。受賞おめでとうございます!!!(*^_^*)
時間がもったいない
正義
『誰かが棄てたモノを拾ったんです』
今作品に於いて、如何に日本人がカンヌ映画祭パルムドールに対しての価値観というものに戸惑うことが如実に現われたことがなかったのではないだろうか。実際、公開する迄(勿論、試写会等では先行上映しているので鑑賞者はいるのだろうが)はその作品を観ていないので、単に日本の作品が世界に認められた事に手放しで喜んだのだろうが、同時にそのセンセーショナルな作品名故、より、アンビバレントな感情が生まれ、そして実際鑑賞してみると日本人が大好きなお涙頂戴を盛り上げる演出程ではない、スカすような展開なので、これのどこが世界で認められたのか訝しがる感想も多いと思う。
実際、今作品は多分日本人の心よりも外国人、とりわけヨーロッパのアッパークラスの人達に響くようなコンセプトで制作されたのではないだろうか。なので、日本人、特に自分にとって不都合なモノ、観たくないモノ、目を背け続けるモノに対し、徹底的に蓋をして『無かった』事にしたいと思いたい人達からすれば、大変不都合でイヤな、パンドラの箱のような内容であったと思うからだ。勿論、心のどこかでそういう実情やそういう世界は朧気ながら勘づいてはいたが、そうなると自分に余計な責任を抱いてしまう、意味がない負担を強いられてしまう、そんな重荷を背負いたくない人達にしてみれば、こんな万引きで生計を立てている家族、しかも全員が他人、子供達は学校や地域から切り離されている状況を、まるでるろうに剣心じゃないけど、『悪即斬』の精神で攻撃に走るのであろう。芸能人の不倫に対するバッシングの例を挙げることもなく、こうしてその本質から目を逸らしたい人達にはかなり気が滅入る話だ。折しも、タイミングの悪さで、またしても児童虐待死の事件が発生し、その死亡した幼児の血を吐くような文章がマスコミによって伝播され、より今作品に影響を及ぼしてしまっている。
弱者に対する視点というテーマについてこれ程迄に如実に現わした作品は久しぶりなのではないか。それを今の日本の俳優陣の曲者揃いがキチンとその演技を施し、又監督は的確に演出してゆく。子役のあの自然な演技はその賜物であろう。
但し、確かにストーリーそのものの評価となると、もう少しドぎつさが有っても良いと思うし、演出の過剰さを排してる分、感情の発露が希釈されているきらいも否めない。特にラストシーンの戻らされた女の子が、ベランダ越しに外を視るカットでのぶつ切りは、思い切り観客にその結末を投げた形になっている。果たしてそれを観客がどう捉えるか、煮え切らない、カタルシスが得られない事への嫌悪感が支配するのか、それともその続きを自分で想像してみて、ハッピーエンドを自分で構築してゆくのか、多分、これが正に監督からの観客への問いかけなのではないだろうか。是枝監督はドキュメンタリー出身であるからこの手法は『我が意を得たり』なのである。
『店にあるモノは誰のモノではない』、それをどう思考し、心を在るべき姿に落とし込んでいくのは他でもない観客一人一人なのであろう。私はラストをハッピーにした。しかし、別の人は向えに来ないバッドエンドを想像するかもしれない。それも作品として『有り』なのである。
うーん、良かったですよ。
是枝監督らしさが溢れた作品
先行上映で鑑賞しました。
パルムドール賞を受賞したということでとても楽しみにしていました。
鑑賞してみて...
相変わらずよかったです。
特に是枝監督作品の特徴である子役の演技が今回は著しく素晴らしかった。特に祥太役の城くん。リリー・フランキーさんや安藤サクラさん、樹木希林さんなど著名な俳優さんが勢ぞろいする今作で、まだ無名な子だと思うのですが存在感がすごかったです。今後が楽しみです。女の子の方はいい意味で初々しさがあって(演技してますっていう感じがなくて)よかった。
あと、予告でも使われていますが安藤サクラさんの聴取(?)シーンが、心打たれました。特にそのシーンの最後。
なのですが、個人的には松岡茉優さんや安藤サクラさんとリリー・フランキーさんの「性的描写」があまり好みではありませんでした。ここまで撮っちゃうかあという感じでした。もう少しカットされてたら☆5でした。性的描写の印象がどうしても残っちゃって...そこは残念でした。大事な要素だとは思うんですけどね...
ラストに祥太君が何を言っていたのか聞き取れなかったので、ノベライズ本を読んでみたら理解できました。素晴らしいと思いました。感動しました。
是枝監督作品らしく答えが提示されることはなく、性的描写もリアルなので(これでPG12なの?)万人受けする作品ではないと思います。でも、個人的には良い作品でした。上映中にもう一回観に行きたいと思います。
現代日本を映す鏡
貧困という絶対的なファクターを背景にして、児童虐待、不条理な解雇命令、日雇い作業員の労災問題、年金の不正受給等、今の日本社会を投影している。中でも取り分け児童虐待の事件が生々しいだけに、安藤サクラの「子供を産んだから母親なのか?」というか台詞が頭に残る。産んで育て始め、その過程で母親として自らを律し、教育し、日に日になるものではないのか?産んだだけでは言葉の便宜上の意味でしかない。リリー・フランキーの茫洋として捉えどころのない雰囲気が何とも言えない全体のリズムを作っている。決して演技が上手い訳ではないのだが、存在感が無いようで有る。評価のしづらいタレントだ。流石に安藤サクラの演技は素晴らしかった。もはや日本を代表する役者と言えるかもしれない。是枝監督もこの作品を持って、漸くブレイクスルーした感じがする。既に消え去った家族というものはフェイクの中でしか存在しないのかもしれない。家族に対する取り返しのつかない哀しい憧れを誰もが持っているのだろう。
コロッケ・・・
新たな発見
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