「お迎えは来ない」万引き家族 ぷにゃぷにゃさんの映画レビュー(感想・評価)
お迎えは来ない
派手な演出がないので、さらっと話が進んでいくが、見てしばらくしてから、なんかじわじわくる。「捨てる」「拾う」「選ぶ」、そんな単語があらわす人間模様。おばあちゃんは自分で選んで、あの夫婦を引き入れた。夫婦はこすっからく生きていても、凍える子供を拾った。血を分けた子じゃなくても、母になりたかった。父になりたかった。なので、愛を与えた。でも、祥太は愛情だけで育つ時期を過ぎてしまった。社会に出て、他人と関わって生きる能力を、身に付ける時期に来ていた。それは、あの夫婦には与えられないものだった。諦めたように、寂しげに祥太を見る二人。「家族」が解散となった瞬間だった。
ぬくもり、ふれあい、やすらぎ。大人だって必要だけど、小さい子供には特に必要。この家でゆりは愛されることを学んだ。彼女はまだ信代の愛が欲しい。どうしていなくなっちゃったんだろう。また迎えに来てくれないかな。外を見る後ろ姿が切ない。どうか、あの子に手を差し伸べる人が、再び現れますように。
しかし、本当に演技合戦だ。樹木希林、安藤サクラ、リリー・フランキー、この三人は当然として、松岡茉優も体はったし、わずかな出番ながら池松壮亮も印象強かった。柄本明もさすが。高良健吾と池脇千鶴をこう使うとは贅沢。そして、山田裕貴がこんな役で出ていたとは、公開当時は気付かなかった。あと、毎熊克哉がいい男。信代に同感!
初見は映画館、他はフジテレビの放送で。
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