「犯罪と子ども」万引き家族 ka ohさんの映画レビュー(感想・評価)
犯罪と子ども
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万引き、誘拐、死体遺棄とこの映画ではいくつか犯罪が描かれるが、その性質は全て異なると感じた。
万引きは悪だ。駄菓子屋のおじさんに「妹にはさせるな」と言われて、息子は犯罪を初めて自覚する。一方でリリーフランキー演じる父は、「そりゃ、妹にはまだ早いだろう」と言っており、全く言葉の真意が伝わっていない。この認識の違いが、少年がわざとバレるような万引きをし、家族の内部からの崩壊を導くのだ。
一方で、誘拐は、児童虐待・家族の形を社会問題として提起していると感じた。犯罪ではあるが、現在の福祉や制度が子供の保護に必ずしも繋がっていない。本当の愛とは、家族とはなんなのか。
最後に死体遺棄、これは貧困を生々しく表現していると感じた。日々の生活もままならないのに、お葬式に充てるお金などない。同じ状況なら自分はどうするか、同じことをするのではなくいかと感じさせるシーンだった。
同じように、見えない花火を縁側から音だけ聞くシーンは、家族としての美しさよりも、「貧困によりできることが限られる不自由さ」を感じさせた。
大人達は、そこから花火が見えないことを知っているが、子どもはそれを知らぬまま、見ようと努力するのだ。
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