劇場公開日 2018年6月8日

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「みにくいもの よわいもの」万引き家族 まきさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5みにくいもの よわいもの

2022年1月29日
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仕事柄、こういう人たちによく遭遇するので、よくある「考えさせられた」みたいなテキトーなコメントを打てない。

こういう、下層とされ、貧困状態にある人たちに対して、ぶん殴りたいほど腹立つこともあれば、自分の力では考えもつかない発想を見せつけられて、自分の無知と無配慮を恥じることもある。まあ腹立つことが8割だけど。

池脇千鶴と高良健吾は損な役だが、あれが世間なので。
この映画を不快だとか日本の恥だとか言ってるレビューもたくさんあったけど、その通りで間違いない。この映画で描かれているような面が日本にはある。そういうことを知らないで生きられるという自分の幸福に気づかないまま、無意識に下層を見下し続ければいいと思う。

彼らのような人の存在をありえないと思う人がいる限り、虐待も貧困も増える一方なのよなぁと思った。

安藤サクラも松岡茉優もよかったけど、何より樹木希林よ。みかんの食べ方がやばい。貧困世帯のばあさんでしかない。怖いよ。

ずーっと、なんだかんだ言ってこの家族なりの絆はあるやんと思っていた。でも各々事情聴取を受ける中で、松岡茉優が家族から樹木希林への援助を知ったときの様子や、安藤サクラが池脇千鶴から「じゅりになんて呼ばれてたの?」と聞かれたときの反応などを見るに、「実は当の本人たちが一番自分たちの絆を疑っていた」感が出てるような気がした。
ほんとに絆があったら、警察の言うことなんか蹴散らすでしょ。

社会制度から爪弾きにされて、そこにうっすら反発して生きて、それでも社会制度に100%抗えていない様子が、なんともリアルではあった。

まき