「未だ謎に包まれたままの状況です」万引き家族 shimoさんの映画レビュー(感想・評価)
未だ謎に包まれたままの状況です
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映画「万引き家族」(是枝裕和監督)から。
最近、映画館の中ではメモを取らずに作品鑑賞をし、
その後、DVDになってから、何度も巻き戻しを繰り返し、
気になる台詞を書き出す作業をすることが増えた。
そうすることで、不思議なことに、映画館では気付かなかった
面白い会話や演技を発見することになる。
今回は、多くの方が鑑賞し絶賛しているので、
なかなか選ぶのが大変だったけれど、
どうして、日本でこういう家族が生まれたのか、気になった。
物語後半まで、ひっそりと暮らしていたこの家族が、
ある事件をきっかけに、世間に対して存在が知られてしまう。
そして、毎回繰り返されるように、マスコミ各社が押し寄せ、
家の前で、大スクープのように大騒ぎする。
それを象徴するかのように、TVレポーターの女性が、
こんな台詞をカメラに向かって叫んだ。
「家族になりすましていた人たちが、一体何を目的に
この家に集まっていたのかは、未だ謎に包まれたままの状況です」
たぶんこの話題は、翌日に違った事件、事故が起きれば、
もう過去のこととして、謎に包まれたまま消え去っていくから、
この事件の背景も、なぜ彼らがこのような行動したのかも、
われわれ国民は、想像の域を超えないまま、次の話題に移っていく。
そうした二次情報に振り回されている、慌ただしい日常生活こそ、
今回のような家族を生み出しているような気がしてならない。
確かに・・二度観ると、この作品の素晴らしさがよりわかってくる。
P.S. (台詞ではないけれど、お見事というべきシーン)
・海ではしゃぐ家族をじっと見守る、樹木希林さんの言葉なき演技。
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