「泥棒にも三分の理」万引き家族 舌芸さんの映画レビュー(感想・評価)
泥棒にも三分の理
「泥棒にも三分の理」という諺がありますが、この映画はいわばその「三分の理」に焦点を当てた作品です。
主人公たちの行動は、法や行政の見地から見れば完全に悪だが、経緯を見ると人情としては理解できるという感じです。
そこから派生して、ではこれを悪とする法や行政等仕組みは真に人を幸福にしているのか、という問いに繋がりこの映画は終わります。
テーマは割合ありきたりですが、描写が徹底して作り込まれていて役者の演技も自然なのでグングン引き込まれます。
この手の作品は主人公たちアウトローサイドを美化しがちですが、この映画では一切なく、とことんリアリティーが追求されています。
しかしそのせいか、ラストまであまりにも現実的になってしまい個人的には観なければよかったと思いました。
映画全体を通して暗く重い雰囲気ですので最後くらいは(実際には多少不自然でも)スッキリ明るくまとめて欲しかったです。
作品としての完成度はかなり高いと思います。しかし観終わったとき必ず陰鬱な気分になってしまうでしょう。
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