劇場公開日 2018年6月8日

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「カンヌの人にはこの作品は日本社会の縮図と思われているらしいけど、そんな風に思われては困る。もっと酷いと思う。」万引き家族 Push6700さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0カンヌの人にはこの作品は日本社会の縮図と思われているらしいけど、そんな風に思われては困る。もっと酷いと思う。

2019年5月3日
PCから投稿

カンヌ映画祭の最高賞を受賞したらしい。

今までの作品全部での受賞ということなんだろうけど、単品で見ると見劣りするような気がする。

名作風のシュチュエーション作って役者さんにそれなりの演技をさせて、時系列でずっと追っかけていくだけ。

説明的な部分が全くないし、思い出しシーンもないし、なんでこうなっているのか、どういう気持ちなのか、登場人物の関係性も不明で、あまりストーリー性や演出的なものがない。

ヨーロッパでは訳の分からない芸術映画がうける傾向にあるので、よくわからないところが感性で見る芸術映画っぽくていいのかもしれない。

今村昌平監督の『うなぎ』も見たけど、この作品と同じような感じの作品でよくわからなかった。

河瀬直美監督の『もがりの森』もカンヌで何かしらの賞とったような気がするけど、無視されてるような・・・あれは何だったんだろう?

設定はわからないのだけれど、全体的な映像の雰囲気はドキュメンタリータッチ。

でも出演者は有名な役者さんばかりだから、演技はうまいけれども何か浮いている。

欧米の人が見たら誰だかわからなくて、ドキュメンタリーみたいに見えるのだろうけど、日本人はそういうわけにはいかない。

カンヌの人にはこの作品は日本社会の縮図と思われているらしいけど、そんな風に思われては困る。

もっと酷いと思う。

本当はもっと救いようのないどうしようもない感じだと思う。

この映画見ながら、そのうち闇金ウシジマくんみたいな人が出てきてたいへんなことになると思っていたけど、結局出てこないで、なんだかいい話みたいになって終わった。

ウシジマくんが出てきたら、逆に本当っぽくなったかもしれない。

だいたい万引きの認識が基本的に間違っていると思う。

この映画みたいに生活が苦しくて万引きしているのなら盗人にも三分の理で、悪いけれどもなんとなくしょうがないかな?という感じになるけど、日本人は生活が苦しくて万引きする人などほとんどいない。

日本人の場合は老若男女問わず、なんでこの人がそんなことするの?みたいな、何かに取り憑かれてやってしまうような、病的な人が多い。

他のことも、設定がよくわからないのでなんとも言えないけど、そのままいったら本当に救いようのない悲惨なことになっていくような気がする。

この作品は日本の社会問題にひっかけてはいるけれど、別に掘り下げているわけではなく、実際はファンタジー的な映画だと思う。

Push6700