「エンタメではないので」万引き家族 ipxqiさんの映画レビュー(感想・評価)
エンタメではないので
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仕方ないっちゃあ仕方ないが、想像する以上の展開を見せなかったのも事実。
監督の考える着地点というのを提示せず、世間で起きている問題をそのまま見せて放り投げている、という見方もできます。
解決できない問題をそのまま提示するのであれば、ドキュメンタリーでもいい。
フィクションならではの着地点を提示しなかったことに、若干の不満も覚えます。
この絶妙な隔靴掻痒感→終わったあとも観客に考えてもらいたい、という監督のメッセージなんでしょうけど、劇映画には劇映画なりの落とし前が必要なのでは?
「スイミー」がモチーフなら、やはり力を合わせて大きな魚に立ち向かうところが燃えるのでは?
事実を基にした「タクシー運転手」がフィクショナルな「盛り」を加えたのとは対照的。だからって鑑賞後には重たいものが心に残らないわけではないので、私はそっちの方が肌に合うなあ。
映画としての偏差値は韓国映画に引けを取らないと思うので残念です。
その意味では「三番目の殺人」の方が楽しめましたが、あれではパルムドールに届かないのですね…。
これを高級リゾートであるカンヌで、お金の唸っているセレブ達が観て涙している…と想像すると、なにやらうそ寒い光景ではあります。
たとえばですが、実家に戻されたりんちゃんが死んでしまい、それが社会にどう波紋を投げかけるかというところまで描いても良かったのではないでしょうか。
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