「ただ生きる」万引き家族 create commonsさんの映画レビュー(感想・評価)
ただ生きる
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リリーフランキー演じる治は、一見冴えないコソ泥中年なのだが、運命的に救いが必要な人間に出会い、受け入れ、救済する。
冬の寒い日にアパートの廊下で凍えていた少女。
前夫に殺されるところだった行きつけのスナックの女。
車上荒らし中、パチンコ屋の駐車場で車内に置き去りになっていた赤ん坊。
皆、治が出会わなければ、この世に居なかったであろう人々。
世間の人の目に触れられず、この世を去ってからようやく気づかれる人々。
治は、生活するのに必要なだけ盗み、救われた人々とただ生きる。季節の移ろいと心の触れ合いを糧にただ生きる。
この作品は社会的事件をモチーフに、実際に居る、居たであろう人々に、焦点を当て問題提起しつつも、
治の存在によって、寓話となり、救済の物語になっている。
時代が代わるたび、繰り返し見直されるであろう名作である。
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