「おためごかしでも家族は家族。絆は絆。愛は愛。」万引き家族 P.Pさんの映画レビュー(感想・評価)
おためごかしでも家族は家族。絆は絆。愛は愛。
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子どもを万引に利用する。自分の身が危うくなれば子どもを見捨てて逃げる。お婆さんが死んでも届け出ずにそのまま年金をもらう。相手のためではなくて、自分の寂しさを埋めるために、生活をともにする。筋書きだけを追っていくと「この疑似家族に本当の絆なんてなかった。」という結論付けもできるだろう。でも『自分を犠牲にしてでも相手を思いやることができなければ、「絆」がない』なんて誰が言えるだろう?そんな高潔な人間がどこにいるんだろう。自分が損なわれない範囲で相手を大切にするということは、相手を大切にしないよりずっといいことじゃないか。寒い冬に家出した少年を迎えに怪我した足を引きずって迎えにいく父親のシーン。音だけの花火を聴きに家族全員で縁側から顔を覗かせるシーンには、確かに愛や絆があったと思う。愛や絆は、ニュースや取り調べで掘り出された後付けの筋書きじゃなくて、瞬間瞬間の細部に宿るものだから。
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