「万引き家族」万引き家族 Araiさんの映画レビュー(感想・評価)
万引き家族
まず、この作品で思ったのが家族としての絆、愛情、そして人々の優しさにポイントを置いているのではないかと感じた。小さな少女、凛がこの家族に加わるまでこの家族は自分がどう生きていくか、生き延びる為には何をすればいいかなど先のことを考えるのに必死になっていた家族だが、凛が来たことによって家族としての形について徐々に気づいてこれたのではないだろうか。
このタイトルでもある万引き"家族"だが、これは誰も本当の家族ではなくそれぞれ自分の罪を隠す為に協力して生活していて、そんな中で父 柴田治が凛を見かけたことによりこの協力を他の為に使う気持ちが芽生えたのではないだろうか。そしてそれにつられるように母 信代も最初は否定的ではあったが一緒に過ごしていくうちに凛の存在性に気づき受け入れるようになっていくように見えた。息子 祥太も万引きをすることで父との間に絆があると認識していたが、それをある人に見つかってしまうとき、何の為に万引きをしているのか、と自分に疑問をもつようになり内面的な成長ができたように感じた。
やはりこの作品において1番の焦点となるのが祥太なのではないかと感じた。国語力のある祥太は「スイミー」の話を治に話したりする描写がある。おそらく祥太はこのスイミーの兄弟のように怯えながら暮らす家族に自分がその家族を1つにさせようとしているようにしているようで家族とスイミーを祥太は無意識に照らし合わせているのではないだろうか。
最後に、もう一度家族とはなんだろうと考えてみる。勿論、協力できる、信頼し合えるというのは理想としてあるが自分が考えた結論、家族とは戻りたい思えることではないかと考える。とても単純な考えだが、自分に置き換えてみると自分は学校や部活、大会などで様々な失敗、挫折にぶつかっている。しかし、どんな問題に直面してもやはりそれを受け止めてくれるのは家族なのである。家族がいるから、また、自分に明日が来るのである。