「家族の形」万引き家族 ロイカさんの映画レビュー(感想・評価)
家族の形
パルム・ドール賞受賞作品、「万引き家族」
見る人により感性が変わってくる作品であることが鑑賞してて伺えた。
ここにレビューするのはあくまで私の感性に基づいたモノであると言うことを前提に読んでいただきたい。
万引きとパート。バイト。そして初枝の年金で生計をたてる嘘偽りの家族。
彼らに血の繋がりはない。
しかしながら、彼らは固く脆い絆で家族として繋がっていた。
治(リリー・フランキー)と信代(安藤さくら)は運命共同体として。初枝(樹木希林)と亜紀(松岡茉優)は異祖母と孫として。そして、祥太(城絵史)とりん{じゅり}[ゆり](佐々木みゆ)は義兄妹として。
それぞれが各々で望む繋がりであった。
ざっとここまで大まかな話の流れ。家族の関係性は書いたのでレビューに移ろうと思う。
ここまでの点を踏まえて私が感じたこの映画の伝えたいこととは何か。
それは、家族の絆とは血の絆などではなくどれ程他者に対して自己犠牲出きるかどうかである。
自分を可愛く思うものは結局保身のためにしか動かないし、他者を愛しく思うものは最期まで他者のために動く。
どんなに辛い過去があっても他者を大切に出来るもの。その者は家族を家族たらしめる。
そういった意味では幼き子というのは最も家族を家族として結ぶ者である。そして、幼き子を繋いで母が家族という基盤の土台なる。
これを理解していただける方は少ないだろう。しかし私にはこの言葉以外は浮かばなかった。
私は思う。大人が幼き頃に戻りたいのは家族を家族たらしめる者になりたいからであると。
私は今から母に謝ろうと思う。大人になるにつれ汚れた私をいまだ家族という枠組みに縛り続けてくれることを。
家族の束縛は実に素晴らしいものである。