「格差社会の苛烈な現実。」万引き家族 bashibaさんの映画レビュー(感想・評価)
格差社会の苛烈な現実。
格差社会の見てはいけない部分を集約してみせたような作品です。表の見てくれが「万引き」であるなら、裏のテーマは「人の死」でしょう。私は、観終わった後、かなり気分が落ち込みました。まるで、ペシミスティックなフランス映画を観終わった後の気分でした。トリュフォーやデュヴィヴィエのような映画でした。なんだか救いようのない作品でした。是枝作品の常連ともいえる福山雅治はキャスティングされていませんでしたが、もし、出演していたなら、ぶち壊しになっていたでしょうね。いまや、国民的歌手となった福山雅治に下層階級の日本人を演じられるとは、とても思えないからです。
とにかく、日本社会の残酷な現実をまざまざと見せられた気分になりました。是枝作品はなるべく、観るようにしていますが、個人的に評価が高い作品は、もう一度、観ようとは思わない作品が殆どです。余りにも酷薄な現実を扱った作品が多いからです。なかには、露悪趣味の極みともいえる内容の作品もあります。
多分、この世に「神」は存在しないのでしょう。この映画は観る人に「神の不在」を確信させる作品です。二度と観たくない映画ですが、一見の価値はある映画です。一度、観れば、十分、記憶に残ります。
結末部分が鋭さを欠いていたので☆を半分、減らしました。
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