「不思議な映画」運命は踊る heaven0さんの映画レビュー(感想・評価)
不思議な映画
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むしろ、驚くほど感情は揺さぶられなかった。登場人物の誰に対しても、感情移入できない。生死の血生臭さをなかったことにする、スタイリッシュで無機質な生活の色。怒りと人間の生への不信感で精神疾患にのまれる人々と、無関心な周囲の人間の白々しく芝居がかった同情。タブレットと泥まみれの住居。生死のコントラストは明確に描かれているが、それは"希望"と絶望ではない。抜け殻しか映っていない。人間未満の肉体しか、この映画には映っていない。悲劇をこじらせ、沼に足を奪われたまま、抜け道を見いだせない家族の、人としての在り方に疑問、違和感。ブルドーザーを強さの象徴として描き、「本当はこう生きたかった。」というメッセージを残すも、おそらくは自らの罪の意識に殺され、人間の生を証明できなかった一生。おかしくないか?ここまで人間を客観的に描けるものだろうか?、、、、、、、、、
と、ここまできて、この作品の特異さがわかった。客観性だ。はっきりいって、テキトーな評論家気取りの飾り立てた文章の賞賛には、へどがでるが、"客観性をもってして全てを観るものにゆだねる"方向性は、貴重だと感じた。
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