ルイ14世の死のレビュー・感想・評価
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死は凡庸で究極の平等
タイトル通り、ルイ14世の死を描いた作品であり、良くも悪しくもそれ以上でもそれ以下でもない。太陽王の死が以下に社会に波紋を広げたかなどとは描かれないし、彼の功罪を問うような姿勢もない。
あるのは、一人の老人の凡庸な死だ。ルイ14世ですら死ぬ。当たり前のことだが、その当たり前に我々は意味を与えすぎている。そこに誇張や神話が入り込み、事実が歪んでいく。
映画は死を誇張することなく、ロングテイクでじっと寝たきり老人であるルイ14世が衰えていくさまを捉える。劇的な要素は極力排除される、死にドラマを与えたくなるのが映画作家の自然な反応だと思うのだが、死はただの死でそれ以上でもそれ以下でもないのだと言わんばかりに、監督は淡々と見せる。
退屈なくせに、ある考えに行き着くと妙なカタルシスを覚える。あのルイ14世も死ぬのだ、我々と同じように。どれだけ偉大な人間にも死は平等に訪れるだと。それはなんだか僕には安心できる事実だった。死は究極の平等だ。この世界にもまだ平等があったのだ。
何かわからないのですがとても興味深いです。
とても淡々と人の死に行くさまを観測していて、、、だいぶ前に見たのですが、何を見たのかわからなくて放置しておりました。
物語としての緩急は排除され、これは映画として面白いのか?面白くないのか?それさえも判断つかず。
ただ、時間がたってぐるぐると何周かしたところで、作り手の熱量がすさまじい映画でそこを鑑みるととても興味深い珍しい作品だと思いました。
昔は、『自分が好きだから作った』というものもありましたが、今は興行ありきが強いので、これほど自分本位にわがままにつくられた作品を見たのは久しぶりでした。
物語としての評価は難しいですが、今の時代に自分本位であれる監督に魅力を感じました。
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