「.」メイズ・ランナー 最期の迷宮 瀬雨伊府 琴さんの映画レビュー(感想・評価)
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自宅にて鑑賞。トリロジー完結作で原題"Maze Runner: The Death Cure"。オープニングタイトルコール迄、約10分を要す。本作でのみ明かされる謎は少なく、大団円に導く幕引きを模索している様な物語。過去二作をよりスケールアップさせた画面だが、粗い展開に強引な運びが気に掛かり、無理矢理感がそこかしこに滲み出ている。仲間との再会や(死別を含めた)別離等に意外性はあるものの、等閑なキャラクターの登場やプロットに無理があり、全体として予定調和な域を出ておらす、結果的に撮れば撮る程、駄目になる典型的なシリーズとなってしまった。55/100点。
・当初、'17年2月17日全米公開を目指し、'16年2月にクランクインを予定していたが、諸事情から'16年3月14日に撮影開始は遅れ、直後の'16年3月17日、冒頭の列車とのチエイスシーンで“トーマス”役のD.オブライエンが、WCKDの列車に並走する車の窓からジャンプする際に事故ってしまい、顔面を含め大怪我を負うアクシデントが発生。'16年4月29日、当初の予想よりも怪我が深刻だった為、已む無く約一年後の'17年3月6日に再開される迄、撮影は無期延期となった後、主要撮影は'17年6月3日に終了したが、この影響で全米公開は'18年1月12日へと一旦、延期された。ところが思いの外、ポストプロダクションに手間取ってしまい、最終的に'18年2月9日に公開を再延期する憂き目に遭った。
・クランクイン直後の“トーマス”役D.オブライエンの大事故を、計らずも目の当たりにした“テレサ”役のK.スコデラーリオだったが、全く臆する事無く殆どのシーンを自身でスタントを行なった。
・本篇では触れられていないが、原作ではG.エスポジートの“ホルヘ”とR.サラザールの“ブレンダ”が嘗てWCKDの為に働いていた過去が明かされている。亦、WCKDのバスはコロラドのナンバープレートであるが、原作ではWCKDはデンバーの都市であると設定されている。原作との違いを列挙すると、前作『メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮('15)』ラストからWCKDに捕らえられているのは、K.H.リーの“ミンホ”ではなく、T.ブロディ=サングスターの“ニュート”である。D.オブライエンの“トーマス”がクライマックス前にA.ギレンの“ジャンソン”に撃たれる描写も原作には存在せず、D.オブライエンの“トーマス”が懇願され、T.ブロディ=サングスターの“ニュート”に止めを刺すのも銃ではなく、ナイフである。P.クラークソンの“エヴァ・ペイジ”も原作とでは大きく役割が異なっており、彼女の生死も原作内では明言されていない。クライマックスの描写も映画版のオリジナルである。
・“ハリエット”のN.エマニュエル、“エリス”のJ.ロフランド、“テレサ”のK.スコデラーリオはそれぞれの出番が僅か10分程度である。亦、原作者であるJ.ダシュナーは、K.スコデラーリオの“テレサ”とP.クラークソンの“エヴァ・ペイジ”がデータをプレゼンするシーンで、無言で聴き入る顎鬚を生やしたWCKDの重役の一人としてカメオ出演を果たしている。
・ラストのシーケンスで、D.オブライエンの“トーマス”が読み上げる手紙は、“ニュート”を演じたT.ブロディ=サングスターが直筆した。監督はその現物をお土産として持って帰ったと云う。
・鑑賞日:2018年10月28日(日)