「『思想までは殺せない』」マルクス・エンゲルス いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
『思想までは殺せない』
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イデオロギーど真ん中の作品であり、大変な教養を求められる内容である。大学まで出たのに、理解できないことの情けなさ・・・本当にサボっていたことを心底思い知らされることに苛まれる、そんな作品である。
少なくても、『資本主義』『社会主義』そして『共産主義』という社会のあり方を知識として持っていないと、今作品のドラマ的伝記を愉しむことは難しいと思う。観念的、概念的シーンやカットもあるので、それも又、その思想を浅くてもいいから知っていないと本当の意味で理解出来ないのではないだろうか。実際、それ以外は、若き思想家が、親友を得、愛する家族を守りながら、逞しくヨーロッパ中を逃避行しながらも、現実と理想のギャップに悩みながら自身の思想を形にして、そして運動の中心者、イデオローグとなってゆく物語だけであるからだ。そう、それだけ・・・。激しい冒険譚でもないし、燃える様なラブロマンスもない。やはり今作品のキモは、マルクス著『資本論』を舐める位のレベルでもいいから知識として知っているかどうかに掛かっている。
そして、自分は持ち併せていなかったので、感情移入がまるで出来なかったストーリーであった。決して悪い作品ではないと思う。少なくても、19世紀のヨーロッパの暮らしや風俗が丁寧に描かれていて勉強になる。映画はこういう要素も大事なのだと気付かせてくれる作品でもあるのだ。ラストの劇伴のボブディラン『ライク ア ローリングストーン』の曲は一寸日和ったかなと、制作者側に皮肉を言うのが精一杯ではあるが(苦笑) でも、少なくても、『クレイジー・リッチ!』みたいな作品を観るよりかは充分有意義な良作である。
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