「俳優陣の力で乗り切った感」君が君で君だ suzuさんの映画レビュー(感想・評価)
俳優陣の力で乗り切った感
楽しい気持ちになるわけでも、考えさせられるわけでもない映画だった。
ひたすら胸糞悪いシーンばかりだし、ブラピの名前を出す意味が分からないし、純情の部分はどこにあったのだろう。
結局誰も救われてない。
ストーカー側が勝手に終わらせるべきことではないのに、何故あんなにすっきりした表情になれるのだろう。
最後は被害者(ソン)もだが、終始、観客が置いてけぼりの映画だった。
この俳優陣の演技力をもってしても補えない何かがあった。
パンフレットで「ストーカー行為を正当化してはいけない」というような発言を見かけたが、監督は「言葉では表せない愛の形はある。それを表現したい」と仰っていた。
ストーカーは愛の形なのか?この映画はそれを正当化しようとしていないか?
「こんな愛の形もある。理解してくれ」の押し付けが酷かった。こんなものは誰も理解しなくていい。
上映後舞台挨拶があった。
この作品は、愛だと思っていたものがただの執着に変わり、途中から「この国を守る」ことを目的としている3人が主人公だった。
しかし、発言を聞く限り、登壇していた俳優さんはそれを理解していなかったようだ。
この作品を理解し、受け止めることはきっと監督にしかできない気がするので、彼のその発言は正しいと感じた。
また上映後舞台挨拶がある際に、上映後一切拍手が起こらなかったのは、私が体験した限り初めてだった。
観客は呆然とし、俳優さんが出て来なければ救えない空気がそこにあった。
良かった点としては、高杉真宙さんが彼史上最も自然な演技をしていたことだ。
自然に話し、そこにいるような演技だった。
音楽や、回想(妄想)シーンの映像が素敵だったことも良かったと思う。