劇場公開日 2019年11月1日

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「前編の方がよかった」IT イット THE END “それ”が見えたら、終わり。 ちかしさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5前編の方がよかった

2019年11月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

S・キングの作品は、映像化すると大抵コケる。でも、前作「IT」はなかなかよかったと、原作著者のファンとしても思いました。(その点では「ドクター・スリープ」もそこまで悪くはなさそう)
ただ、なんだか今作は長かった。もちろん文庫本で分厚い4冊になるほどの長編が原作なので、削るのは大変だと思う。でも、子ども時代と現在に分けたのだから、子ども時代の回想はもう少し少なくてもよかったと思う。
ジェームズ・マカヴォイ、ジェシカ・チェステインと実力派俳優を起用できるほど、ホラー映画というものの地位が向上してきているなと思った。ひと昔前はホラー映画はサブカルみたいなものだったのに。でも、そこまでの俳優を揃えておきながら、原作のもつ深みは出せていなかった。少年少女の淡い恋などはあったけども。キングのホラーは怖いだけではなく、多様なジャンルが混ざっているはず。だからこそ同じひとが「グリーンマイル」や「スタンド・バイ・ミー」のような感動作もつくれる。
「IT」の怖さは、人間それぞれが持つ内的恐怖を投影している。だからこそ見る者によって違う姿なのだ。だから、アメリカンホラーの定番である音で驚かすだけでは足りない。その点前にTV映画として映像化されたときは、映像技術がしょぼい時代だったからこそ心理的な恐怖をつくれていた。「ピエロ恐怖症」なんて言葉を生み出したくらいなのだ、当時の人々がどれだけ怖がったのかよくわかる。もちろん、映像がしょぼいので、今観てもそこまでおもしろいとはいえないけど、今2019年版を観るより、当時TV版を観ている方が絶対に怖い(と思う。)
あとはキングも結構なお年なのに、まだまだ元気そうで安心しました。

ちかし