「長期脳死だった息子の母です」人魚の眠る家 はなさんの映画レビュー(感想・評価)
長期脳死だった息子の母です
突然、眠りっ子になった息子との在宅の5年間を思い出しました。大学生と高校生だった娘たちと痰の吸引や経管栄養の手技を覚え、二時間おきの体位交換したり、オムツ交換したり…ドクターは脊髄反射と言っていたけれど、息子は蹴飛ばしたり、手を繋ぐと握り返してきたりと様々な反応で、「僕は生きているよ」と伝えてくれました。在宅になってから、その反応が多く出てくるようになりました。うっすら笑みを浮かべることさえありました。うちみたいに長期脳死の子供と幸せに家庭で暮らす家族もいるのだということを知って欲しいし、脳死状態になっても、在宅を選ぶ選択肢もあるのだということを知って欲しい。脳死は人の死ではありません。たとえ脳死状態であろうと、かすかに自発呼吸している場合もあるし、家族の気持ちを受けとめてくれています。おうちに帰ると、動きが増えて、いい表情をしてくれました。いろんな感想があるとは思いますが、私は映画を観て自分の経験と篠原涼子扮する母親の生活、気持ちが被ってしまい、ずっと泣いていました。あまりに共感できたので…おうちの医療機材等も、「うちもああだったなぁ」と、懐かしく観れました。映画の中のような家族は日本にはたくさんおられると思います。在宅の選択は、私たち家族にとって、息子と幸せな時間を少しでも長く過ごすためのベストな選択であったと確信しています。とてもよい映画だったと思います。
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