「一瞬、物凄い映画かも、と思ったけど─」人魚の眠る家 SHさんの映画レビュー(感想・評価)
一瞬、物凄い映画かも、と思ったけど─
脳死問題、臓器提供の問題、医療の問題、家族の問題…様々な事柄を感じさせてくれる物凄い作品なのでは─と思いながら強い気持ちで作品を堪能。この作品の行き着くテーマは人間の根元の部分、つまりは生きるということはどういうことなのか…というところにまで到達してしまうのか!?大いなる期待を持って偉大な結末を待っていたのだが─。結果的に、ドラマティックな映画というところに落ち着いて、少しだけ…いや相当ガッカリしてしまった。
決して悪い作品だとは思わないけれど、前半のクオリティがあまりに高いと感じてしまっただけに、物語の終息のさせ方に身勝手な失望を抱いてしまったというところ。
異常な精神状態、暴走、エゴ…肯定できない事柄が描かれていて、それを断ち切るべく進んでいくべきものなのだろうが、あくまで個人的な願望としては、一方的な方向に突き進んでいって、新たな進化を見たかった。AIなんか駆使して…まぁそう思わせてくれるだけのパワーを持った作品だとは思う。知的でそれでいて創造性豊かなストーリーであることは間違いない。
撮影技術を含めた絵づくり、抑えつつも効果的な音楽、そして篠原涼子の演技、それらは文句なく最高のものだと感じた。
見終わって冷静に作品を眺めると、素晴らしい映画であることは確かだとは思うのだけれど、どうしても終わりが好きになれない。あの決断で終わってよかったのではなかろうか。まぁ勝手な戯言です。
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