「これ、現代版『トゥルーマンショー』では?」ガンズ・アキンボ といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
これ、現代版『トゥルーマンショー』では?
「ダニエル・ラドクリフ主演のおバカアクション映画」と、以前から話題になっていた本作。近所の映画館では上映されていなかったので劇場では観られませんでしたが、レンタルDVDでようやく鑑賞です。
結論ですが、バカバカしくて最高に面白い!!
もちろんおバカ映画らしく矛盾や穴のある部分は目立つのですが、そんなの気にするインテリはこの映画を観るべきではないです。「ネット弁慶のオタクが両手をボルトで固定されてデスゲームに強制参加」という荒唐無稽な一発ネタの映画ではありますが、意外にもストーリーは割と王道で普通に楽しめますし、ラストの展開で敢えて王道から外す演出をするのは個人的に刺さりましたね。
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ゲーム会社でプログラマーとして働くマイルズ(ダニエル・ラドクリフ)は、日頃の鬱憤をネット上の誹謗中傷によって晴らすという習慣を持っていた。ある日、ネット上を騒がせていた殺し合いを生中継するアングラ動画配信サイト「スキズム」の存在を知る。マイルズはそのサイトのコメント欄を誹謗中傷で荒らしていたところ、スキズムの運営者の怒りを買ってしまい、自宅を襲撃されて麻酔によって意識を失ってしまう。目が覚めたマイルズの両手には拳銃がボルトで固定され、殺し合いゲームへ強制的に参加させられてしまうのだった。
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死体役で出演した『スイス・アーミー・マン』や本作『ガンズ・アキンボ』などなど、最近のダニエル・ラドクリフは変な映画に変な役で出演することが多いですよね。「ハリーポッターの主演で一生遊んで暮らせるだけ稼いだから、自分の興味ある映画ばっかり出ている」なんてまことしやかに囁かれていますが、本当にそう思ってしまうくらい最近はぶっ飛んだ役が多い。私はそんなダニエル・ラドクリフが好きです。
本作を鑑賞していた私は1998年公開の名作映画『トゥルーマン・ショー』を思い出しました。
『トゥルーマン・ショー』は、一人の男の人生が赤ん坊の頃から24時間365日テレビで生中継されていて、本人だけがそれを知らないという設定の映画です。「コメディ映画」にカテゴライズされるのをよく見掛けますが、私はあの映画を「ホラー映画」だと信じて疑いません。
本作『ガンズ・アキンボ』の終盤にマイルズが運営を襲撃するシーンは、『トゥルーマン・ショー』でトゥルーマンが張りぼての世界からの脱出を図るシーンと酷似しています。「スキズム運営を倒す」「トゥルーマンが脱出する」というのはどちらも視聴者からしてみれば「楽しんで観ていたコンテンツが終わる」ということに繋がるのに、それでも応援してしまう視聴者。アツい展開。本作の監督も『トゥルーマン・ショー』を意識しているんじゃないかな。多分。
しかし本作のラストは「結局スキズムは終わらなかったよ」っていう、『トゥルーマン・ショー』とは真逆の展開ですね。ここが「王道を外してきた!!」と私が勝手ながら興奮した展開です。
もちろん、矛盾点や不満点も無いわけじゃありません。「後半、急にマイルズが覚醒して強くなりすぎ」ってところとか、多分誰もが違和感抱いたところだと思います。でも本作にはそういう違和感があることは認めつつも「面白い」と思わせるだけの魅力がありました。正直賛否両論ある作品ですが、私は凄い好きでした。オススメです!!!