「そこにあってないもの」シンプル・フェイバー U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
そこにあってないもの
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なかなかに面白かった。
ネタ的には使い古された感はあるものの、それをとりまく環境?人物?が面白い。
ライトなサスペンスって感じなのだけど…日常がベースにあるおかげで色んな見方が出来そうだ。
彼女が死ぬまでは、何の映画かよくわからない。対照的な2人の女優の会話劇をただただ見せられる。かと言って退屈なわけではない。
後半戦に続くミスリードの材料がふんだんに散りばめられてある。
徐々に明かされるネタバラしの分岐が脳内で多岐に渡り展開される。
対立なのか共謀なのか、どれが真実でどれが虚言なのか…スリリングとまでは言わないが、昼下がりの気だるい午後に鑑賞するには合っていると思われる。
物語の根幹にあるのは女性の本質のようなものであり、この辺は男性からすると、実に謎めいていて形を持たない無形物のようにも見える。
1つではないのだ。
その感情も、親身になって耳を傾ける表情も。
その裏に必ずもう1つ、違う本音が隠れているかのようだ。
それは時に好意的であり、時に否定的であり、時に好戦的でもあり、その基準はサッパリ分からない。
そんな女性の建前と本音を巧みに使って仕立てあげた煌びやかな料理のようだった。
サスペンスを楽しむのもいいんだが、読み合いなのか探り合いなのか…それを無意識のうちにに、かなり高度な次元で駆け引きをやってのける女性という造形物を観察するのもいいかもしれない。
きっと女性の方が、深くこの作品を楽しめるし、理解できるのではと考える。
…女性は皆、一流の役者なんだと思われる。先入観と嘘と真実に翻弄された2時間だった。
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