「死んだように生きている男の希望」ビューティフル・デイ とえさんの映画レビュー(感想・評価)
死んだように生きている男の希望
これは、とても濃厚で濃密で素晴らしい映画だった
家出人捜索のプロであるジョーが、上院議員の娘 ニーナの捜索を依頼されたことから、事件に巻き込まれていく
ジョーがなぜ家出人の捜索をするのか
それは「悲惨な状況に置かれている子供たちを救うため」である
彼もまた、かつてDVをするような毒親に育てられた息子であり
その父親が亡くなっても
そこで時が止まったまま
生きているのか死んでいるのかわからないような生き方をしていた
けれど、大人になった彼もまた、暴力的な一面を持ち、そんな彼には父親の支配から逃れられないでいることを感じずにはいられない
その中で出会ったニーナを救うことは、自分の中にいる幼いジョーを救うことにもつながっていく…
これは、暴力的な大人たちが、子供たちに与える影響を描いた映画であり
毒親映画の代表作「サイコ」を通して、これが時代を問わない普遍的な問題であることを示す
ヒッチコックの時代も、現代も、親と子の病んだ関係に変わりはない
そんな支配から逃れるのにジョーのように何年も要する人もいれば、「サイコ」のように一生逃れられない人もいる
では、ジョーはどのようにしてその支配から脱したのか
そこにこの映画の希望があった
貧しい家の子も裕福な家の子も毒親に育てられた子供たちはみな、等しく不幸なのがやるせない気持ちになる映画だった
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