「怪獣王がハッキリと描かれた作品」ゴジラ キング・オブ・モンスターズ あるとさんの映画レビュー(感想・評価)
怪獣王がハッキリと描かれた作品
まず初めに、主観的な感想だけを述べるのであれば、本作は本当に素晴らしい作品でした。
この約60年間、ほぼ肩書きだけだった「怪獣の王」という存在を、しっかりと描写してくださったことに深く感動しました。
特に最後のシーン、怪獣たちがゴジラにひれ伏し、その中、まるで「私が王だ」と言わんばかりに咆哮する姿は、本当に格好良かったです。
「王たる所以」を丁寧に描いてくださったことに感謝します。
本当に最高の作品です。
それでは、具体的な内容について触れていきたいと思います。
前々作であるモンスターヴァースシリーズの「GODZILLA ゴジラ」の続編として描かれていることに驚きました。
軽く設定を引き継ぐ程度だろうと予想していたのですが、しっかりと続編として作られていた事に驚きました。
そのため、前作を観ていることが前提となっており、観ていない場合は内容に違和感を覚える部分が多々ありました。
私自身、ゴジラシリーズは昔から観ていたものの、モンスターヴァース作品は本作が初めてだったため、少し違和感を覚えました。
その上、前々作の内容に関する説明がほぼない点は減点ポイントだと感じました。
次に、人間ドラマについてですが、粗があるものの、許容範囲内だと思います。
しかしながら、母親のキャラクターが自己中心的で、頭が痛くなるほどでした。
つまりは「タイタン、怪獣たちに、人間が破壊した自然を元に戻してもらうんや!あ、でも自分の子供は大切だから殺さんといてな!」という自己中心的な姿勢が強く感じられました。
これはあくまでも私の主観ではありますが、自己中心的であるという点は間違っていないように思います。
続いて、モンスターヴァースの最大の見どころである怪獣描写についてお話しします。
私自身、この描写を楽しみにしていたと言っても過言ではありません。
結論から申し上げますと、タイタンの描写は非常に素晴らしかったです。
まずCGが非常に美しく、ゴジラやギドラ等タイタンの鱗や毛、目などが丁寧に描かれていました。
さらに、スピーディーで迫力ある戦闘描写が圧巻でした。
展開が一転二転する中で、高画質での迫力ある映像が非常に印象的で、強く引き込まれました。
また、その戦闘シーンを彩るBGMも素晴らしかったです。
ゴジラのメインテーマがアレンジされており、通常は絶望感の強い曲ですが、今回は安心感のあるアレンジが施されていました。
アニメの良いシーンでオープニングテーマが流れるような雰囲気で、まるで勝ち確BGMのようなBGMが非常に効果的でした。
コーラスも相まって、作品の雰囲気をさらに盛り上げていました。
ここからは、私の感想です。
「王たる所以」を描いた作品。怪獣王、キング・オブ・モンスターズ。
敵でも味方でもない、善悪を超越し、外敵を、偽りの王を討つまでを描いた流れが非常に印象的でした。
そして、本作全体の映像はやや暗い印象を受け、怪獣たちもほとんどがシルエットとして描写されております。この点については「見づらい」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、私はその描写を非常に高く評価しております。
シルエットとして描くことで、怪獣の恐ろしさや壮大さ、さらには神々しさを見事に表現できていると感じました。
ただし、減点ポイントとして、以下の点が挙げられます
続編として作られているが故に、観ていることが前提となっており、説明が少ない点。
難解な内容であるうえに専門用語が多く、一度の鑑賞では内容を理解しきれない上、購入したパンフレットで補完する必要がある部分が多い点。
人間ドラマの粗さや共感しにくいキャラクター設定。
とはいえ、CGの作り込み、迫力あるスピーディーな戦闘描写、そしてBGMは非常に素晴らしかったです。
総評として、人間ドラマは粗が目立ち、専門用語が多いため新規の視聴者には優しくない作りではありますが、戦闘シーンの完成度の高さからカジュアルな観客や前々作を観ているファンには高評価を得られる作品だと思います。
個人的な評価としては星3.5〜4が妥当と思われます。
ちなみに私のおすすめシーンは、モスラが羽化して神々しく羽を広げるシーンと、王と成ったゴジラが咆哮するシーンです。