「もっと突き抜けた個性が欲しかったです。」ゴジラ キング・オブ・モンスターズ よねさんの映画レビュー(感想・評価)
もっと突き抜けた個性が欲しかったです。
2014年の怪獣襲来で愛息を亡くしたマークとエマは悲しみを乗り越えられず離婚。エマは娘マディソンを引き取り秘密機関モナークで怪獣の研究に没頭していた。エマはマークが試作しながら悪用されることを恐れて破壊した怪獣と交信する装置オルカを密かに改良して研究中の幼虫との交信を試みるが、謎の組織が研究施設を急襲、エマとマディソンはオルカと共に拉致されてしまう。知らせを受けたマークはモナークの芹沢博士らとともに足取りを追うが、同じ頃多くの都市に怪獣が襲来、世界中が未曾有のパニックに陥っていた。
一般的に評価が芳しくないのは解ります。正直古くからのファンに忖度したストーリーは色々手をつけ過ぎて舌足らずだし、長尺を飽きさせない工夫も足りず中盤で大いに中弛み。映像もこれといって特徴がないオーソドックスな作りで、悪い意味でよく出来ている。ギャレゴジがこだわった着ぐるみ感を捨て去ったのは冒険だったと思いますが、その分人智を超えた存在であるゴジラの存在感を薄めてしまった感あり。また結構豪華なキャストを集めているのに人間ドラマも希薄で盛り上がらない。要するに東宝ゴジラへのリスペクトがお世辞の域を出ていない感じ。とはいえ終盤での展開はドラマチックで一気にハイテンションにギアシフト。でもそれは演出の妙というよりはサントラの威力によるもの。マイケル・ドハティ、初監督としては大いに健闘したと思いますが個性をにじませられなかったのが残念。
個性が際立った虚淵ゴジラの後というのもバッドタイミングですし、そもそも監督と脚本兼任はちょっと荷が重かったのかも。あとモブシーンも物足りなかった。まぁ物足りなさではエメゴジという悪夢があるのでそれに比べたら全然ちゃんとしてますが。あと画面が終始暗いので3Dには不向き。2Dのなるべく大きなスクリーンで観るのが正解だと思います。