「葛藤する鑑賞記録」ゴジラ キング・オブ・モンスターズ ハッピー・ホーガンさんの映画レビュー(感想・評価)
葛藤する鑑賞記録
ギャレゴジから5年。シンゴジラから3年。実写映像作品ゴジラの最新作はまさに『祭』の一言に尽きる。
ドハティ監督という筋金入りのゴジラオタクが指揮を取った本作は随所にゴジラ小ネタが満載。ストーリー上の必然性の有無に関わらず。
「モスラといったら小美人やでー!」
「ゴジラ倒すならオキシジェンデストロイヤーやでー!」
「バーニングゴジラはメルトダウン寸前やでー!」
まさに勢い。詰め込み放題。過去2本制作されたハリウッドゴジラをぶっちぎるようなゴジラ熱であふれている。
本作の怪獣描写は過去最高の災厄描写である。
トゥーランドットをバックに怪獣が暴れまわる予告編を観た時から期待値爆上がりしてたんですけど、本編観たらそれ以上でした。キングギドラが目覚めてからのモナーク部隊との対決とか、ラドンのメキシコ襲撃シーンとか、人間の間近に迫ってくる怪獣の描写がすごい。今までも踏み潰される人の描写とかはあったけど、巨大な何かが頭上や目先にいて、それらによって人がいとも簡単に吹き飛ばされる。ハリウッドが本気出したらこんなもんじゃ!と、力技を見せつけられました。大暴れする怪獣たちをバックに流れるソイヤッ!ソーレッ!の掛け声も、観客を異様なテンションへと導く。
まあでもね、ゴジラが出てきた時にあの音楽が流れるということのありがたさよね。これに尽きるよ。伊福部昭は永遠なりいいいい!
まあでも、ツッコミどころはそれ以上にあって。
どうにもいいところのないモナークとか、藤宮博也ばりのエコテロリズムに走る母ちゃんの同情の余地のなさとかはさておき、やっぱりセリザワ博士よ!
単身ゴジラの元へ出向くその手にあるのはオキシジェンデストロイヤーではなく、まさかの核弾頭。ゴジラへの気付け剤を人類未踏の遺跡と共に爆破させ、ゴジラを急激に目覚めさせる。見事復活させたかと思いきや行き過ぎたパワーのせいで(仲間からも「やりすぎた!」と言われる始末)メルトダウン寸前。あのさ、メルトダウンって結構なことだよ(vsデストロイア参照)。ゴジラにおいての原子力の扱いってやっぱり相当デリケートな問題だと思うのですけど、そろそろそこに気を付けようって思ってくれないかしら。正直このくだりのあとは急激に自分のテンションが下がっていってしまったのです。。
あと、エンドクレジットのハッピーエンドを匂わせる新聞記事カットバックも、なんだかなあって感じ。なんか諸々のアウトなことを正当化してない?ご都合主義がすぎるかと。。
まあ、細かいことはいいんだろうし、きっと平成vsシリーズの脚本の完成度もどっこいどっこいだと言われればそれまでだし(そこもオマージュしたの?ドハティさん)、何よりこんな大規模な怪獣映画を見せてくれてありがとうという気持ちは、あります。細かいことは求め過ぎない!その気持ちがあれば、大いに楽しめることでしょう。