「現代版リメイク「芝浜」」億男 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
現代版リメイク「芝浜」
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九十九は、三億円という大金を手にした一男に奈落を見せた。そして心が入れ替わったころを見計らって現れて、三億円を返した。まるで「芝浜」のようだ。いや、「芝浜」だけじゃない。芥川龍之介「杜子春」の読後のような気分だ。九十九はまるで、「杜子春」に出てくる仙人のように一男をいたぶっておきながら、最後に、ふっと浮ついた慢心を解きほぐしてくれた。
吃音やら、九十九の人物造形にはもっと深みがあるようなのだが、尺の制約のせいか、掘り下げてはくれなかった。(だいたい、唐突に三億円が消えるところから始まる時点で、性急なストーリー展開は覚悟はしたが。)もう少し九十九という人間を表現してくれれば、ラストがもっと納得できたかもしれない。
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