「ファンのためのギフト🎁」劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命 サンゲリアさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5ファンのためのギフト🎁

2018年7月28日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

楽しい

これは長年に渡るTVシリーズファンのための「贈り物」である。
元を知らない方には入り込めないだろうし、作品の出来は良くも悪くも「SP版」の域を出ていない。将来のビデオ発売やTV放送を待っても差し支えないだろう。
しかしファンには今、スクリーンで見ることに価値があると思う。

エピソード的にはメインとなる「海ほたる」内での救助が小ぢんまりし過ぎてスケール感に欠けたのが勿体無く、ここは「海猿」並みにじっくりやって欲しかった。
シリーズを通して医療監修にあたった医師たちによると、フェリー内でパイプが胴体を貫通した救助シーンではパイプの直径は5㌢が限度で、アルファベットOからCへの切開方法も手段としてはあり得るが、正にやってみなくては分からないと言う。
「いくら何でも荒唐無稽」と思われそうだが、ギリギリの線を狙った名シーンだろう。

全体的にはこれでもか!な「泣かせ」要素が満載で、末期の胃癌花嫁などはまるで違う映画を挟まれたような感じだったが、後に冴島+藤川の敷地内挙式に結び付くのを見れば納得。(お前ら、どんだけ病院好きなんだよ!)

海ほたるの事故現場であっさり子供が溺死していたので「?」と思ったら、臓器提供の伏線で、3rdシーズンをご存じならば橘医師の息子=雄輔君がこんなに立派になって・・・と感激するだろう。
自分もここで不覚にも落涙してしまいました。(笑)

そうかと思うと雪村の母親=かたせ梨乃が側頭部に包丁が突き刺さったまま大暴れする様子は殆んどコントじみていて、アルコール中毒ってこんなか?と突っ込みを入れたものの、シリアス一辺倒でないシーンも入れたかったのかな。

自己中でぶっきらぼう、口数が少なく無表情という藍沢医師は、山Pにとって多分生涯の当り役かもしれない。彼の役者としての欠点は見事なまでにカバーされていて正に「適材適所」と感心。
「山Pじゃなく藍沢先生のファン」という知人女性もいるくらいで。
(もちろん誉め言葉です)
ただ今回の感電エピソードはストーリー上あまり意味が無いので、ファンのためのおまけエピソードなのかも。

全編通して名セリフが多かったのは緋山医師で、本作の主人公は彼女と言っても差し支えない位だが、それに比べると白石医師の見せ場が殆んど無くて気の毒だった。
もう少しリーダーシップを発揮させてあげても良かったと思う。

最初にコメントした通り「映画」としてのクオリティは低い。
「海ほたる」もそうだし、ヘリの飛行シーンも細切れショットばかりで、飛行から着地、フライトドクターたちが飛び降りて走るまでをワンショットで撮る位はやって欲しかった。
しかしあくまで「彼らの姿を少しでも長く見ていたい」と願うファンのための「贈り物」であると解釈すれば十分楽しめるはずだ。

サンゲリア