「酷評するほどじゃないけど」未来のミライ 島田庵さんの映画レビュー(感想・評価)
酷評するほどじゃないけど
もはや10年前になるのか
「バケモノの子」を見た時、ワタクシはこう書いた。
>説明的な台詞が多くて興をそぐ。
>ああ、子供向けに分かりやすくしたのか、だったら仕方ないか、という感じ。
>(もしもそういうつもりじゃないのなら、脚本下手すぎ)
それ以降、細田守監督作品は観ていなかったし、
観る気もなかったんだけれど、
最近公開された「果てしなきスカーレット」のレビューを読んでいたら、
「脚本下手」という声が目について、
ちょっと再検討したくなった。
で、まずは観ていなかった作品を観てみようかということで、
2018年の「未来のミライ」
* * *
「未来のミライ」が登場するまで約30分かかるし、
それ以降もミライはたいしてたくさん登場しないので、
タイトルはどうかと思うけど、
それは逆に、ミライをもっと登場させたらよかったということかもしれないとも思ったり。
主人公は、4歳の「くんちゃん」
妹が生まれて一気に「イヤイヤ期」に入り、
泣きわめき倒す。
これが、リアルを目指したんだろうが、くどい。
けれどそれ以外は、
庭のケヤキが鍵になって時空を超える物語が、
まずまず面白かった。
ただ、
面白味のある台詞が、ない。
ひねりとか、味わいとか、諧謔とか、皮肉とかが
台詞にない。
これが「サマーウォーズ」だと、
少なくとも中盤までは、面白味のある台詞が満載。
比べちゃったらやっぱり「脚本が……」という話になるのは
いたしかたなし、ってところか。
公開中の「スカーレット」も
監督自身による小説版を試し読みしてみたけど、
少なくとも読めた範囲では、魅力的な台詞はなかった。
魅力的な台詞がないと、
キャラが立たない。
そういう意味で、
「やっぱり脚本」なのかもしれないなあ。
