「ファミリー層向けに向いてない監督」未来のミライ ニャンダムさんの映画レビュー(感想・評価)
ファミリー層向けに向いてない監督
以前からちょっと女性描写にが微妙な向きのある監督でしたが、
今作を作るにあたってはその評価ゆえなのか「小さい子供を持つ母親」たちの声を集めてたそうです。
しかしながら、その扱い方がやはりずれているというか…「おそらくこういう声があったんだろうな」と想像できるシーン、ことごとく「そういうことじゃないだろ」ってのが多い。
例えば、冒頭父親が近所の奥さんに「イクメンであること、家事をしていること」を褒められているシーン。それに対し、母親は「そんなに威張れるほどやっていないのに」と文句を言います。
この手の話、よく子育て家庭の愚痴で聞きますが、その愚痴をよりによって「母親が外で働き、父親がメインで家事育児をしてる」設定の家庭で言わせる?という違和感。
また、母親がよく怒る「鬼ババア」で、父親はおっとり子供に接し「鬼ババア」の圧政に敷かれてるネタ。
小さい子供がいる母親が怒るのって基本子供を危険から守るための必死さから来るものでしょう。集まった声にはそういう態度を反省する声があったのでしょうね。
それを、父親がメインで育ててる設定なのに「怒る母親」の部分のみ再現。さらに「母親は子供の頃から常軌を逸した気性」である設定でダメ押し。ええ…
在宅ワークをしている父親は、4歳の男の子と産まれたての乳児を1人で見ているにも関わらず「子供の声に気がつかないほど仕事に集中」しています。
え…「子育てしてる母親たちの声を集めた」んですよね…?それでこの描写…?
確かにストーリーの流れ上、ここは父親が「子供の言動に気がつかない」必要があるけど、それにしたって??
その後の「妹の授乳に両親ともが夢中になって、くんちゃんの呼びかけを完スルー」のシーンもそうですが、話を進めるためにいくらなんでも不自然な言動を取らせすぎる。
細田作品はそういうことが多すぎる…。
未来の東京駅の描写などは好き。