劇場公開日 2018年7月20日

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「細田版ツリー・オブ・ライフ」未来のミライ ジョイ☮ JOY86式。さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0細田版ツリー・オブ・ライフ

2021年8月24日
iPhoneアプリから投稿

と言われてピンとくる人は見たら良いと思う。

甘えん坊の四歳児、くんちゃんの視点から見たスピリチュアルな冒険譚。

オープニング映像はとにかく素晴らしかった。 子育てをした人間であれば涙腺が緩まずにはいられないだろう。「おおかみこども」同様、短時間で手早く子供の成長や命の尊さを映すのが本当に上手い。

が、本編はどうだったかというと。
正直最後までノれなかったというのが本音だ。
この感覚のズレは細田作品では初めてで自分自身戸惑ったが、それが直ることは最後までなかった。

何をズレと感じたかというと。
くんちゃんのセリフや演技だと思う。
ちょっとした仕草や癖は実にリアルで子供らしく、自分の子供と重ねずにはいられない。

にも関わらず、くんちゃんが話始めるとその語彙のボキャブラリーの多さや、滑舌の良さに違和感を強く感じるのだ。
アニメならではのディフォルメ、と言われればそれまでだが。4歳児相応のリアリティのある演出と、明らかに成人女性が演じる"中の人"が見え隠れしてしまうくんちゃんの実像とでは、とてもアンバランスに感じてしまった。

これは意図的な演出だったのか、それとも意図しない違和感なのか、それは分からない。
しかしキャラクター造形の二面性を最後まで飲み込めなかったのが、ストーリーに没入する事を強く妨げていた感は否めないだろう。

ただその一方で、これまでの血縁者達の過去と未来。延々と続く人と人の繋がり、そしてその見せ方は素晴らしい物だった。

とても好きなシーンがある一方で、どうにも受け入れ難い演出もある。そんなアンビバレンスな作品だった。
見る人、見る時期や環境によっても感想は様々に割れるだろう。物議を醸す作品である事は確かだ。

ジョイ☮ JOY86式。