「監督の自慰と共感の押し売り」未来のミライ おっさんさんの映画レビュー(感想・評価)
監督の自慰と共感の押し売り
サマーウォーズと時をかける少女は好きでしたが、本作は本当に金と時間の無駄です。びっくりしました。
理由は他のネガティブ評価の人たちと大体同じです。
・なぜタイムスリップする必要があったのか(というか、そんなことしないと普通の子供は成長しないの?)
・ミライの手の痣には何の意味があったのか、痣じゃなければだめだったのか。(個人的に祖母の「将来この痣が気にならなければいいけどね~」みたいな、心配するようで哀れむ台詞がまた感情を逆なでしました。そうやって周囲が変な心配をするから本人が気にするんだよババア)。
・赤ん坊の妹をおもちゃで殴ろうしてたら、親がビンタするのが普通です。赤ん坊を殴る描写がアリで、親はあくまで口で説得しようとする(体罰を用いない)あたり、明らかにメディア対策で辟易しました。見ててイライラする。
・クンちゃんが赤ん坊の頃の育児について会話、奥さんが「ぜんぜん手伝ってくれなかったよね」「そのくせ私の顔色ばかり気にして」旦那「すみません、仕事に逃げてました」このやり取りこの作品中に必要?監督からの「子育てした夫婦って、こういう会話ってどっかしらであったよね」的な気配がして胸焼けしました。うっとおしい。俺だって子育て経験あるんだぞ、という監督の自己顕示欲がチラついてしまい、なんともイカ臭いです。
・過去にて、足を怪我したおじいちゃんが、おばあちゃんと結婚を賭けてかけっこで勝負する場面で「このときおばあちゃんがわざと負けなかったら~」「過去のちょっとしたことのつながりで現在のクンちゃんが~」的なことを言葉にして説明する場面がありましたが、最悪でした。読み上げた時点で監督として終わってます。監督なら情景や演出でそういう感覚を視ている側に自然に抱かせるのが勝負なのに、結論を言葉で説明してどうするんだよ。料理をシェフが客の口にむりやりねじ込んでるようなもんでしょ。馬鹿すぎる。そもそも、その伝えたいこと自体、だからなんなの当たり前ジャン、って内容だし(わざわざお前から説明されるようなことでもないし・・・)。そんなことを何故言葉にしてまで伝えたかったんでしょうか。観客がよっぽど馬鹿だと想定してのことでしょうか。これを伝えるために、この映画の90分も必要なのでしょうか。
・おじいちゃんの船が大破して海に投げ出された場面、おじいちゃんが手を空にかざして、やや呆けてから空に叫ぶシーンがありましたが、そこらのラノベアニメの劣化コピーを見ているようで辟易しました。そんなことしてる暇があったら、さっさと板切れにしがみつくなり、身の安全を優先しろよ。気持ち悪い。
・過去の母親が家を荒らすのが意味不明。散らかったお菓子を食べたクンちゃんの「・・・おいしい・・・」というリアクションが予定調和すぎて非常に鼻につく。
・犬が人間になる理由が不明。
・尻尾を突き刺して犬になれる理由が不明。犬になって駆け回る主人公を見て観客が何を感じればいいのか不明。
・黄色いズボンじゃなきゃ出かけたくないとガキが騒いだら、親はぶん殴って「じゃあ裸でいけ」というのに、そうしない理由が不明。
・よそのガキが自転車に乗れた話とかどうでもいいし、たまたま練習しているときに居合わせた大人が外国人だった演出も不明。
・家がお洒落(のつもり)なのも意味不明。ああいう家にすむ夫婦が世間の理想だと思っているのでしょうか。
・母親が怒ったとき鬼の顔になる演出がつまらなすぎて意味不明誰も笑ってなかった
とにかく、現代的・都会的でちょっとイケてる、でもよそと同じくらい色々大変なのよ~、みたいな、ちょっと捻れた上昇志向のある、栃木から渋谷や湘南へ移住してくるような思想を持つような人なら共感できると思いました。この監督、こんなに演出下手だったか、もしくはどっかで感性が死んじゃったんですね。もうやめたほうがいい。被害者増えるから。
それでもいいところを挙げるとすれば、時間とお金は本当に大事なものだと気づかせてくれたことでしょうか。それから、言語が日本語だったので、何をしゃべっているのか理解できました。音楽も流れていた。上映開始とともに会場の照明が落ちた。