「そういうことだったのか。」未来のミライ クラシコイタリアスタイルさんの映画レビュー(感想・評価)
そういうことだったのか。
酷評が多いのにも納得はいく。
ただ、私はこの映画を評価したい。
くんちゃんの言動になんだかイライラしたり、ただ淡々と描かれていく平凡なストーリーに、正直なんなんだろうこの映画は....と思っていたが、
ふと、くんちゃんのその姿は、まさに幼き頃の自身を投影したものであると気付いた。
私が生まれた頃、そこには確かな「家族」があった。
そして、その「家族」にとって、私はくんちゃん自身に他ならなかった。
幼児は、1日1日の連続性を持たない。
ファンタジーの中で生きている。
生きている中で、常識・知識・振る舞いを身に付けた我々大人からすれば、幼児のしていることが全く分からない時も多い。
私は幼い頃、母親は神様なんだと思ってた。
何を聞いても知っているし、立派な人であると思っていた。
そんな母親をとても尊敬していた。
しかし、穿った見方をすれば、その母親でさえ幼い頃は、くんちゃん自身であったはずだ。
それは紛れもない事実である。
そして、私の祖母や祖父も同様に。
総括すると、
私にとって、
この映画のテーマは「家族愛」。
ただ、これがメインテーマではない。
本当のテーマ、それは「生命の連続性」
観ている者にノスタルジアを、
言い換えれば
懐古的な思いを巡らせることを主眼としているのではないだろうか。
そして
「全ては繋がってきた」
という非常に純度の高い、強烈なメッセージを伝えているとともに、その位置づけは、
人類の普遍性に対する、シニカルなオマージュ作品。
この映画は、観る側を
それに気付く者、
それに気付かない者
への二極化を余儀なくするのである。
本作は、純度の高いオリジナル作品、そして強烈なメッセージ性を持った作品であるがゆえ、高評価は避けられず、星5つです。
注:私は、この映画を見たことはありません。
無意識下で生命がつながってるっていうのはとても良いのだけど、作品としては結局何も起こってない事が映画として致命的だと感じてます。
どこかで、単なるくんちゃんの空想や夢のはずが、もしかしたら現実の事なんじゃないかと思わせられる描き方が入ってくるのなら、たちまちお話は良くなると思うのですが。。
ただ、そういうのは既にとなりのトトロで描かれてしまっているのでトトロを超える脚本を作れないのであれば、やるべきではないという印象です。